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特集 重度障害児の理学療法
精神発達遅滞児に対する理学療法の役割と課題
著者: 山川友康1 山川宏昭1 浅野まゆみ1 小谷睦美1 馬場先俊仁1
所属機関: 1姫路市総合福祉通園センター
ページ範囲:P.532 - P.538
文献購入ページに移動精神発達遅滞(以下,MRと略.)とは,「知的な発達が同じ年齢の子どもに比較して有意に遅れ,日常生活の適応に困難がある状態」と定義されている1).
脳性麻痺児の早期診断・早期療育が定着するにつれて,近年,MRを主症状とする子どもについても,早期療育の概念が注目され,その意義や成果が報告されている2~7).
精神発達遅滞児(以下,MR児と略.)は,乳児期には一般に姿勢筋緊張が低く,抗重力活動など基本的運動能力の乏しさが認められるため,運動発達の遅れに対して,理学療法がまず処方されることが多い.しかしMR児の治療場面で,運動機能面のみを重視すると,子どもの問題の本質を見誤ってしまう危険がある.
MR児は,その原因や臨床像が実に多種多様であり13),対応は個々の症例により異なる.今回は,われわれの臨床経験を基に,MR児の基本的とらえかたと理学療法の役割および理学療法実施上の留意点について述べ,症例検討を加えてまとめた.
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