文献詳細
文献概要
入門講座 ADL訓練の実際・2
片麻痺の起居・移乗動作訓練
著者: 夏目精二1
所属機関: 1別府リハビリテーションセンター
ページ範囲:P.551 - P.556
文献購入ページに移動 Ⅰ.初めに
脳卒中患者のリハビリテーションでは運動麻痺の回復のみにとらわれず,全体的な機能の改善,そしてQOLの向上を目標に,訓練計画を立てる心構えがたいせつである.すなわち,身体面だけでなく,家族を含む心理的,社会的側面からの支援も考慮することが必要である.
最近の脳卒中は,診断技術の発達や初期治療の向上で,死亡に到るケースが少なくなってきている.しかし一方では,積極的な治療にもかかわらず歩行自立に到らず,全介助やベッド生活自立の程度にとどまる患者も多くみられる.そして,このことは年齢との間に相関がみられ,高齢になるほどこれらの患者の割合は上昇してくる1).このような場合,たとえ寝たきりであっても,指示や監視をすることにより,寝返りや起き上がりなどの動作が可能となる例も多く,個々の患者の機能や特徴を,介助者へ指導してゆくことが重要とされる2).
起居・移乗動作能力の自立は,歩行の自立とともに重要な目標であるが,これらの自立度に影響する因子としては,第一に運動障害が挙げられる.そして,高次脳機能障害や精神面での意欲低下,痴呆なども報告1,2)されており,症例に合わせた最適な手段を講じることがたいせつとなる.本稿では,起居動作として坐位保持,寝返り,起き上がり,立位保持,立ち上がり,移乗動作としてベッドと車いす,ベッドとポータプルトイレ間について,訓練の初期の段階を中心に具体的に述べてみたい.
脳卒中患者のリハビリテーションでは運動麻痺の回復のみにとらわれず,全体的な機能の改善,そしてQOLの向上を目標に,訓練計画を立てる心構えがたいせつである.すなわち,身体面だけでなく,家族を含む心理的,社会的側面からの支援も考慮することが必要である.
最近の脳卒中は,診断技術の発達や初期治療の向上で,死亡に到るケースが少なくなってきている.しかし一方では,積極的な治療にもかかわらず歩行自立に到らず,全介助やベッド生活自立の程度にとどまる患者も多くみられる.そして,このことは年齢との間に相関がみられ,高齢になるほどこれらの患者の割合は上昇してくる1).このような場合,たとえ寝たきりであっても,指示や監視をすることにより,寝返りや起き上がりなどの動作が可能となる例も多く,個々の患者の機能や特徴を,介助者へ指導してゆくことが重要とされる2).
起居・移乗動作能力の自立は,歩行の自立とともに重要な目標であるが,これらの自立度に影響する因子としては,第一に運動障害が挙げられる.そして,高次脳機能障害や精神面での意欲低下,痴呆なども報告1,2)されており,症例に合わせた最適な手段を講じることがたいせつとなる.本稿では,起居動作として坐位保持,寝返り,起き上がり,立位保持,立ち上がり,移乗動作としてベッドと車いす,ベッドとポータプルトイレ間について,訓練の初期の段階を中心に具体的に述べてみたい.
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