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文献概要
特集 痴呆と理学療法
病院における痴呆老人と理学療法士との関係
著者: 高口光子1
所属機関: 1宇賀岳病院理学診療科
ページ範囲:P.606 - P.611
文献購入ページに移動 Ⅰ.初めに
“痴呆はわからない”とよく言われる.確かに,その定義・診断基準も検討中の段階で重症度分類や疫学的研究も不徹底であり,専門医師でさえその本質を把握するのに手探りの状態である1).神経科学的研究と人間学的考察の交錯する現在においては,現場により近しい医療従事者ほど「わからない」と言うのも当然かもしれない.
まして,老人病院という社会的矛盾を多いに含む肥大化した組織の中で,本来の専門性まで自身に問うている理学療法士が,痴呆老人に出会ったときの混乱ぶりは周知のとおりである.
結果,“対象外”“単なる合併症”“阻害因子”である.が,それでは済まされないところにまで現場は行き着いているのではないか.
今回私は,病院そして理学療法という枠をとうに越えてしまっている痴呆老人の世界を私たちが受け入れるのではなく,私たちがどうしたら彼らに受け入れられるだろうかという視点から,その糸口をまとめてみた.関係諸氏のご意見をうかがう機会となれば幸いである.
“痴呆はわからない”とよく言われる.確かに,その定義・診断基準も検討中の段階で重症度分類や疫学的研究も不徹底であり,専門医師でさえその本質を把握するのに手探りの状態である1).神経科学的研究と人間学的考察の交錯する現在においては,現場により近しい医療従事者ほど「わからない」と言うのも当然かもしれない.
まして,老人病院という社会的矛盾を多いに含む肥大化した組織の中で,本来の専門性まで自身に問うている理学療法士が,痴呆老人に出会ったときの混乱ぶりは周知のとおりである.
結果,“対象外”“単なる合併症”“阻害因子”である.が,それでは済まされないところにまで現場は行き着いているのではないか.
今回私は,病院そして理学療法という枠をとうに越えてしまっている痴呆老人の世界を私たちが受け入れるのではなく,私たちがどうしたら彼らに受け入れられるだろうかという視点から,その糸口をまとめてみた.関係諸氏のご意見をうかがう機会となれば幸いである.
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