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入門講座 ADL訓練の実際・3
不全四肢麻痺の起居・移乗動作訓練
著者: 臼田滋1
所属機関: 1筑波大学附属病院理学療法部
ページ範囲:P.627 - P.633
文献購入ページに移動 Ⅰ.初めに
不全四肢麻痺を四肢の不全麻痺ととるならば,脳障害・脊髄障害・神経筋疾患などによる障害を含み,その多くの場合に,四肢のみではなく,体幹機能障害も伴っている.
脊髄障害による不全四肢麻痺をみた場合,脊椎の骨関節疾患,外傷性頸髄損傷,骨および軟部組織腫瘍などの原因疾患があり,最近の高齢障害者の増加に伴い,理学療法の対象は増加している.これらの疾患に対して,観血的治療の進歩により,障害のほとんど残らない患者も少なくないが,麻痺は改善しても不全麻痺の状態にとどまることも多く,その多くは起居・移乗動作訓練が必要である.
不全四肢麻痺者の起居・移乗動作訓練は,原因疾患による制約や,術後の後療法と平行しての訓練の特性と,さらに退院後の生活における個別的な環境調整など,多面的な配慮の下で進めなければならない.
また,不全四肢麻痺者の場合に獲得された起居・移乗動作は,完全麻痺者に比べて,その残存機能(筋力,感覚など)と,利用する代償動作により多様であり,訓練に際してもより個別的なプログラムおよび方法が必要である.
ここでは不全四肢麻痺を,観血的治療後の脊髄障害(頸髄不全損傷)による運動障害に限定し,まず運動療法を施行する際に特に必要な基礎的な事項を上げた後に,起居・移乗動作について解説する.
不全四肢麻痺を四肢の不全麻痺ととるならば,脳障害・脊髄障害・神経筋疾患などによる障害を含み,その多くの場合に,四肢のみではなく,体幹機能障害も伴っている.
脊髄障害による不全四肢麻痺をみた場合,脊椎の骨関節疾患,外傷性頸髄損傷,骨および軟部組織腫瘍などの原因疾患があり,最近の高齢障害者の増加に伴い,理学療法の対象は増加している.これらの疾患に対して,観血的治療の進歩により,障害のほとんど残らない患者も少なくないが,麻痺は改善しても不全麻痺の状態にとどまることも多く,その多くは起居・移乗動作訓練が必要である.
不全四肢麻痺者の起居・移乗動作訓練は,原因疾患による制約や,術後の後療法と平行しての訓練の特性と,さらに退院後の生活における個別的な環境調整など,多面的な配慮の下で進めなければならない.
また,不全四肢麻痺者の場合に獲得された起居・移乗動作は,完全麻痺者に比べて,その残存機能(筋力,感覚など)と,利用する代償動作により多様であり,訓練に際してもより個別的なプログラムおよび方法が必要である.
ここでは不全四肢麻痺を,観血的治療後の脊髄障害(頸髄不全損傷)による運動障害に限定し,まず運動療法を施行する際に特に必要な基礎的な事項を上げた後に,起居・移乗動作について解説する.
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