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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル26巻1号

1992年01月発行

文献概要

特別寄稿

イタリアへの旅,そしてPerfetti法との遭遇―『脳卒中片麻痺に対する認知運動療法』の翻訳に当たって

著者: 宮本省三1

所属機関: 1高知医療学院リハビリテーション科

ページ範囲:P.49 - P.49

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 Perfetti(パフェッティ)法とは,イタリア人の神経科医Carlo Perfetti教授が脳卒中片麻痺患者や脳性麻痺児の運動機能回復を目的として開発した画期的な治療法である.この治療法は,イタリアやフランスでは新しい神経生理学的アプローチとして位置付けられPerfetti法という名称で一般化しているが,Perfetti氏自身は認知運動療法とかKnowing approachと呼んでいる.そして,Perfetti法の特徴は,感覚入力刺激に対する認知機能の再構築によって賦活する中枢神経系の運動出力反応を学習させようとする点にある.

 筆者は,1990年の夏にフランスでPerfetti法が話題になっていることを知ったが,そのときにはSensory reeducationの変法であろうと思った.しかし,秋にイタリアの理学療法を視察するためにミラノに入り,偶然にも医学書店でPerfetti氏の著書『La rieducazione motoria dell emiplegico』と『Condotte terapeutiche per la rieducazione motoria dell emiplegico』とに出逢った.この2冊の本はイタリア語で書かれており理解することはできなかったが,参考文献のページを開いて驚いた.そこにはBrain,Journal of Physiology,Journal of Neurophysiology,Psychological Reviewといった雑誌に掲載された新しい神経生理学の知見と認知心理学や運動学習理論に関する研究論文が数多く引用されていたからである.そこで,筆者はすぐにPerfetti氏の住所を調べ,美しいアドリア海に面した水の都ヴェニスに宿泊し,列車で2時間ほどのスキーオ(Schio)というイタリア北部の小さな街を訪れた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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