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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル26巻10号

1992年10月発行

文献概要

特集 中高年脳性麻痺者の問題点

脳性麻痺者の加齢に伴う二次障害の予防と対策

著者: 関谷博之1 前憲作2 喜田義次3

所属機関: 1大阪府立身体障害者福祉センターリハビリテーション科 2大阪府立身体障害者福祉センター整形外科 3大阪府立身体障害者福祉センター機能訓練課

ページ範囲:P.675 - P.682

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 Ⅰ.初めに

 脳性麻痺の治療やリハビリテーションは,従来より幼小児に主な関心が偏っており1),したがって成人脳性麻痺者や高齢の脳性麻痺者に関する論述はあまり多くない.一方,リハビリテーションの現場ではこれまで幼小児期あるいは青壮年期の問題であると考えられてきた障害にも加齢が新たな問題として付け加わったため,少なからぬ混乱が生じている.

 脳性麻痺者の場合,中高年にいたって生じる問題点として,臨床面からは変形性関節症や頸椎症性頸髄症による機能障害がしばしば指摘される.これらの疾患は言うまでも無く脳性麻痺に特異的に合併するわけではないが,もともと身体機能の予備力が低い個人に発現するとdisabilityを助長するであろうことは想像に難くない.また,アテトーゼ型の脳性麻痺者に頸椎症性変化が健常群よりも若年のうちから高頻度に出現する2)ことが明らかにされており,この早期の加齢現象が脳性麻痺者の社会生活の質を蓍しく低下させている.

 今回,これまでに経験した症例の検討と文献上の総説を行ない,脳性麻痺者の自然経過とそれから生じる問題点および対策を考察してみる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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