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特集 ADLとQOL
片麻痺のADLテストの標準化
著者: 八並光信1 園田茂1 木村彰男1 千野直一1 中嶋和夫2 新田収3
所属機関: 1慶應義塾大学病院リハビリテーション科 2東京都心身障害者福祉センター 3東京都府中療育センター
ページ範囲:P.749 - P.753
文献購入ページに移動近年,リハビリテーション・サービスのねらいをADLからQOLへと移行する必要性が,しばしば論じられている.これは,従来の画一的なプログラムから,社会生活上のニーズに即した個別プログラムへの転換を図らなければならないことの強調であるとも解釈できる.この変化は,医療そのものが病院(施設)から在宅医療へと発展している現在,単なる能力低下の改善のみでは,退院後の生活の多様なニーズを満たしえないことと密接に関連しているものと考える.
しかし,QOLを高める要因としてADL能力が重要であることは不変の事実である.最近,評価表そのものの妥当性や信頼性に関する検討も徐々に行なわれており1),リハビリテーション領域においてもADLやQOLの指標となるべき標準化されたテストの開発が本格的に始動しつつある.
本論文では,このような点を踏まえながら,片麻痺患者の自験データに基づき,今後のADLテストの標準化について考察を加えることにする.なお,本論文では「標準化」を作業仮説に基づく,ADLテストの設計およびサンプリングなどの一連のプロセス全体を指す用語として使用する.
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