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特集 終末期ケアと理学療法
理学療法卒前教育における終末期ケア教育―弘前大学医療技術短期大学部の現状と課題
著者: 對馬均1
所属機関: 1弘前大学医療技術短期大学部
ページ範囲:P.834 - P.839
文献購入ページに移動近年,バイオエシックスの観点から,末期癌患者に代表されるような,死を目前にした人々に対する医療の在りかたを問う終末期ケアが研究課題として取り上げられるようになった1).その背景には病院で死を迎える患者が全死亡者数の70~80%を占めているにもかかわらず,そこで行なわれる医療が必ずしも満足のゆくものばかりとは言えない事情がある2).こうした状況を引き起こす要因の一つとして,医学教育のカリキュラムの中に終末期ケアが欠落していることが挙げられ,終末期ケア教育の必要性が指摘されている2,3).
理学療法教育の現状についてみても,カリキュラム上,終末期ケアに関する教育は総論にとどまり,理学療法士の役割など各論的内容は,予後不良疾患に対する理学療法の一部として断片的に取り上げられている場合が多いようである.弘前大学医療技術短期大学部においてもこの領域に関して系統的な教育が行なわれているとは言い難い実情である.
そこで今回,本特集において「理学療法教育における終末期ケア教育の現状と課題」について担当するに当たり,弘前大学医療技術短期大学部理学療法学科におけるこれまでの終末期ケアに関連した教育実践を,自己評価という観点から見直し,理学療法卒前教育における終末期ケア教育の必要性,今後取り組むべき課題について考察する.
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