理学療法ジャーナル26巻2号

1992年02月発行

特集 内部疾患と理学療法

心筋梗塞回復期の積極的運動療法

著者： 山崎裕司¹ 山田純生¹

所属機関： ¹聖マリアンナ医科大学病院リハビリテーション部

ページ範囲：P.79 - P.84

　Ⅰ．初めに

　心筋梗塞症（以下，MI）回復期の積極的運動療法は発症時の救命の危険を乗りきった後の，まさに社会に復帰させるための運動療法であり，患者は心機能障害を有していても運動を通じて徐々に自信を取り戻していくようになる．しかしながら，そうした希望に満ちた思い込みは，時として心臓に過剰な負荷を与えてしまう結果にもつながりかねない．あるいは心機能障害は軽度でも疾患の精神的ダメージから，身体活動を過度に制限し，Quality of Lifeを落としてしまうこともある．これが運動指導者に正しい病態の把握と，それに基づく運動療法プログラムの立案が要求される所以（ゆえん）である．

　本稿では当院で施行されている運動療法プログラムについて評価，運動療法の実際，効果判定の考えかたについて言及するが，上述した理由より単に項目の羅列でなくその考え方の背景を述べるように努めた．