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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル26巻7号

1992年07月発行

文献概要

入門講座 関節可動域訓練・1

関節運動の基礎と関節可動域運動

著者: 中林健一1

所属機関: 1国立療養所近畿中央病院附属リハビリテーション学院

ページ範囲:P.473 - P.479

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 I.初めに

 関節可動域運動は,理学療法士の治療技術としてもっともよく使用される技術の一つである.しかし関節可動域運動を含む運動療法の基本的な治療技術は,慣習的に使用されているからであろうか,治療として適応,頻度,期間などを明確にして使用されているとは言い難い状況である.さらに技術的な習熟はあまり注目されていていない.また治療中の痛みについては,反射性交感神経性ジストロフィーや関節拘縮などを二次的に引き起こして痛みを誘発するなど,有害であることは知られていた.しかし技術的に無痛で治療する手段も無く,患者に苦痛を強いることも多かったのではないだろうか.

 これらを解決する手段として,近年ようやく本邦においても一般的になりつつある関節運動学を,従来の関節可動域運動に組み合わせた技術の一部をここに紹介する.関節運動学は1970年代以降,欧米で出版されている解剖学,運動学の成書には必ず含まれており,運動療法に関する出版物の中でもその理論的基礎としては10年以上も前から取り入れられてきた.しかし,技術的には欧米においても十分に組み入れられてはいないようである.

 本稿では関節可動域運動の中でも特に関節拘縮などに対する伸張運動を中心に,関節運動の基礎と治療技術について述べる.

 関節拘縮の治療については後述の関節機能異常に対する治療が不可欠であるが,本稿の範囲を越えるので成書3)に譲りたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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