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特集 健康増進と理学療法
高齢者の健康増進
著者: 森倉三男1
所属機関: 1千代田区麹町保健所予防課
ページ範囲:P.739 - P.744
文献購入ページに移動高齢者の健康増進の課題において,疾病や障害をもつ者に対するアプローチは大きく二つの要因で重要性を強めているようである.その第一は,家庭介護力の低下の中で虚弱度の高い後期高齢者や障害老人が地域・在宅で暮らしていくことが多くなりつつあり,健康への強い期待に応え,それを支える仕組みを整えることが求められていくこと,今一つは,疾病や障害をもっている人に対して,それだけに注目するだけではなく全人的存在として捉え,考えかたのみならず具体的援助を健康を増進する観点から行なうことを求められるようになっていることである.この背景には健康に対する新しい取り組みが発展しつつあり,ノーマライゼーションの理念を健康増進の分野でも現実的に促進する活動が行なわれるようになってきていることがある.もとより地域リハビリテーション活動は,この二つの要因に応え実践するものとして発展してきているのであり,在宅リハビリテーションの場でも,その人らしく毎日を生きていくための健康づくりを推めていくことが重要になってきている.
ここでは高齢者の健康増進を,病い,不自由,悩み,弧独などの健康上の問題や不利を抱えながら地域・在宅で暮らしている人について,日ごろの在宅リハビリテーション業務従事の中でぶつかる健康観や活動能力の問題を中心に述べていくこととする.
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