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特集 健康増進と理学療法
健康増進と理学療法士
著者: 浦辺幸夫1
所属機関: 1広島大学医学部保健学科
ページ範囲:P.757 - P.761
文献購入ページに移動国民の健康増進の重要性が唱えられるようになって久しい.本格的な健康増進事業もあちこちで行なわれるようになってきた.本稿ではこの方面における理学療法士の果たすべき役割について論じてみたい.
理学療法はリハビリテーション医学を支える一つの柱としてその歴史において治療医学,予防医学に貢献してきたが,昨今の健康志向の増大により健康医学にも寄与することが大きく期待されるようになった.
健康医学の内容は非常に多岐にわたるが,理学療法と関連の強いものは運動,それもスポーツを通じて身体を健全に保つというウエルネスやフィットネスの分野である.医療機関における理学療法を担ってきた理学療法士においても,この分野で当然培ってきた知識・技術を発揮できると考えられる.
厚生省は高齢化社会の到来を踏まえた疾病予防対策として,1978年より国民健康づくり対策を行ない,相当の効果を得た.その後,第二次国民健康づくり対策として「アクティブ80ヘルスプラン」を唱え,健康獲得のために運動・栄養・休養の三者が一体となった国民のライフスタイルを提示した.厚生省はこの実施主体となり,運動指導者の養成ならびに資格認定を行なった.また,これと時を同じくして,労働省および支部省も独自に運動指導者の育成を始めた.このような資格認定制度の実施は現場の指導者たちにも,どの資格を選択すべきかで混乱と不安を招いた面もある.
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