文献詳細
プログレス
文献概要
大腿切断者の義足装着や歩行訓練を考えると,最初は義足というまったく新しいシステムに慣れるというプロセスから開始され,これまで経験の無いソケット装着と体重負荷との両方法を習得しなければならない.最初はソケットを通して義足に体重をかけることに慣れ,次に体重をかけている間に膝折れが起こらないように筋力でバランスをとることを学習し,そこから,立脚相での体重移動を覚えて歩行訓練に入っていく.したがって,まず,立脚相で安心して体重をかけることができなければならない.このように考えると,従来の大腿義足では,立脚相の補助装置に重点が置かれてきたことは当然のことと考えられる.歩行訓練に入っても,その初期では遊脚相の時間も短く,その間の膝の屈曲角も小さいため,どのような遊脚相補助装置を用いているかはあまり問題にならないが,歩行訓練が進んできて,歩行能力を一定のレベルまで再獲得すると,ようやく「よく歩く」という目標が立てられ,遊脚相の補助装置の特性が問題となってくる.立脚相や遊脚相の補助装置としては,特に第二次世界大戦の後,米国を中心に工学者が参加し,切断者の身体的条件や運動能力に対応するために,さまざまな種類の機構が考案された.
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