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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル27巻12号

1993年12月発行

文献概要

特集 脳性麻痺児の生活指導

重度脳性麻痺児のコミュニケーション手段の指導

著者: 石川正幸1 図子明三1 井内奈緒美1 澤田善之1 十川秀樹1 新井隆俊1

所属機関: 1香川県身体障害者総合リハビリテーションセンター

ページ範囲:P.827 - P.831

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 1初めに

 脳性麻痺児でコミュニケーションの問題をもつ子どもは多い.この子どもたちのコミュニケーション手段を考えるとき,対象となる子どもは,快・不快の表現しかできない子どもから,言語理解はあるが言葉が不明瞭で聞き取りにくい子どもまで幅広い.そういう子どもたちと接するとき,われわれが日常基本としていることは,子どもの意思表示を読み取るということである.(ここで言う意思表示とは,泣くことなども含めたものと解釈していただきたい.)それは,子どもの訴えを聞き,子どもを人として扱うためである.しかし,子どもの機能上の制限や,受け取る側の限界などにより,子どもの意思を正確に把握できない場合がある.そのため,子どものストレスが増大し,運動発達と精神発達の相互作用が妨げられ発達が阻害される.このような場合,工学技術の利用が有効である.

 最近,日本でもリハビリテーション工学エンジニアを中心に障害児・者が利用できる機器・ソフトウェアが開発されてきている.これらを利用することで,一つの動きで多くの物をコントロールしたり,自分の意思を確実に伝えたり,人の介助を必要としないで何かを実行したりすることができる.このことが子どもの自発性を促し,将来の身体的・精神的自立につながる.

 しかし,これらの手段を提供するとき,注意すべきことは,異常発達というリスクである.セラピストは,姿勢動作を分析できる特性を活用し,異常パターンを抑制し,体を楽に動かすことができ,発達を促す姿勢を設定すべきである.そうすることが,二次障害の予防や老化に対応することにつながる.

 二症例を以下に紹介し,コミュニケーション手段の提供について考えをまとめる.症例1は具体的にコミュニケーション手段を提供した例として,症例2は今回紹介する内容を発展させて,コミニュケーション手段を考えている例として呈示する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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