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特集 脳卒中における廃用・過用・誤用と理学療法
廃用・過用・誤用症候の基礎と臨床
著者: 上田敏1
所属機関: 1帝京大学市原病院リハビリテーション科
ページ範囲:P.76 - P.86
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廃用症候群の予防の重要性はリハビリテーション医学の創始期から強調されていたところであるが,最近通常のリハビリテーションプログラムを行なっていても必ずしも十分に予防しきれていない場合が多いことが認識され,改めて注目を集めるようになった.それと同時に,廃用とは逆方向の過用の危険についても十分な注意を払う必要があることが強調されるようになったが,これは1910年代にポリオに関連して指摘されながらその後忘れられていたものの復活であった.一方理学療法や作業療法その他の技術が正しくなかった場合に種々の害を及ぼしうることが,リハビリテーション医学の比較的初期から指摘されており,誤用症候と呼ばれてきた.すなわち現在リハビリテーション医学の世界では,過用や誤用(これはいずれも医療によって作り出される医原性<iatrogenic>の症候である.)を避けつつ,同時に顕在的・潜在的な廃用症候群を予防・治療するという複雑な課題が提起されているのであり,これに正しく応えることなしには高齢化,重度重症化,重複化の著しい高齢化時代の要請に対応できないのである.
廃用症候群の予防の重要性はリハビリテーション医学の創始期から強調されていたところであるが,最近通常のリハビリテーションプログラムを行なっていても必ずしも十分に予防しきれていない場合が多いことが認識され,改めて注目を集めるようになった.それと同時に,廃用とは逆方向の過用の危険についても十分な注意を払う必要があることが強調されるようになったが,これは1910年代にポリオに関連して指摘されながらその後忘れられていたものの復活であった.一方理学療法や作業療法その他の技術が正しくなかった場合に種々の害を及ぼしうることが,リハビリテーション医学の比較的初期から指摘されており,誤用症候と呼ばれてきた.すなわち現在リハビリテーション医学の世界では,過用や誤用(これはいずれも医療によって作り出される医原性<iatrogenic>の症候である.)を避けつつ,同時に顕在的・潜在的な廃用症候群を予防・治療するという複雑な課題が提起されているのであり,これに正しく応えることなしには高齢化,重度重症化,重複化の著しい高齢化時代の要請に対応できないのである.
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