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講座 地域リハビリテーション・2
在宅高齢者における地域リハビリテーションニーズ―茨城県古河市における実態調査より
著者: 江口清1 土屋滋1 大貫稔2 宇川康二3
所属機関: 1筑波大学社会医学系 2日本女子大学社会福祉学科 3筑波大学附属病院理学療法部
ページ範囲:P.129 - P.134
文献購入ページに移動社会の急速な高齢化を背景に,茨城県古河市では,「福祉の森」計画との名称で,保健・医療・福祉を一体化させた地域システムを構築する構想を進めている.同市と筆者らは協力して計画の策定に当たっており,これまでにリハビリテーションに関わる内容をも含む幾つかの基礎調査を実施してきた.在宅高齢者のリハビリテーション・ニーズについては,寝たきり老人対策が中心となってしまうのが現状であるが,以下ではこれらの調査結果を紹介しながら,浮かび上がってきた問題点について概説する.
古河市は,関東平野のほぼ中央に位置し,人口約58,000人の一地方都市で,65歳以上の高齢者の比率は約11%である.市内には,通所施設である心身障害者福祉センター(以下,福祉センターと略)があるが,入院を必要とするリハビリテーションについては,現状では,整形外科で扱える一部を除き,多くを市外の病院に依存している.その他,老人保健施設は一施設あるが,特別養護老人ホームは市内に無く,保健センターは計画の段階である.リハビリテーション医療に携わる人員はきわめて不足しており,現在のところ日常の活動としてセラピストが訪問事業を行なっている施設は無い.
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