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特集 脊髄損傷
脊髄損傷患者の心理社会的問題について
著者: 島田進1 豊倉穣2 村上恵一2
所属機関: 1東海大学医学部附属病院リハビリテーションセンター 2東海大学医学部リハビリテーション学教室
ページ範囲:P.241 - P.245
文献購入ページに移動脊髄損傷の発生起点は,労働災害・交通災害あるいは転落,スポーツ災害といったものが多い.このような突然の災難に遭遇した脊髄損傷患者が障害を受容することは容易ではなく,そこに生じるさまざまな心理的葛藤が,リハビリテーション医療の妨げとなることは少なくない.したがって,身体的のみならず,心理社会的側面への検討と対応が治療を円滑に進める上での鍵となろう.
永井1),古牧2),蕪木3)らは,脊髄損傷患者の心理的側面へのアプローチを報告し,一貫したチームアプローチの重要性,患者心理の把握の必要性を共通して述べている.脊髄損傷患者の心理的反応は,各患者によって多種多様であり,また,患者を訓練する治療者の反応にも個人差がある.
このような中で,特にリハビリテーション医療にとって問題となるのは,治療者と良好な関係が保てず,訓練意欲が無いなど,治療が円滑に進まない患者である.しかし,これらの原因は,患者側だけではなく,治療者側に存在することも少なくない4).
本稿では,患者側,治療者側のさまざまな心理社会的問題を概観し,「障害の受容」にもふれた上で具体的な症例に関して考察していくことにす
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