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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル27巻5号

1993年05月発行

文献概要

印象に残った症例

糖尿病壊疽による下腿切断―断端部に頻繁に傷が生じる症例

著者: 磯崎弘司1

所属機関: 1東京医科歯科大学医学部附属病院リハビリテーション部

ページ範囲:P.349 - P.351

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 Ⅰ.血管原性切断について

 欧米では血管原性による切断が全切断者の70%1)あるいは80%2)を越えているという報告がある.我が国においては欧米ほどではないが,人口の高齢化・食生活の欧米化に伴い閉塞性動脈硬化症など3)の血管原性による切断が増加している.当院における1950~1990年の調査4)では全切断者の24%が血管原性切断であったのに対し,1985~1990年の近年では43%と高い値を示し今後の増加傾向を示唆している.また水落5)・大川ら6)によれば血管原性の切断症例において65歳以上の老年群では閉塞性動脈硬化症が多く,それ以下の若中年群では糖尿病性壊疽・急性動脈閉塞・慢性動脈不全においてほぼ同率であったと報告しており,当院の調査でも同様な傾向がみられた.

 血管原性による切断では,発症から切断という外科的処置に至るまでの経過が外傷・腫瘍によるものと比較して長く,健肢・患肢ともに機能障害を生じている症例が多い.したがってこれらの症例は全身状態のチェックも重要である.また,循環状態の悪さから傷を生じやすく,傷の治癒も遅れがちである.今回,血管原性切断で断端部に頻繁に傷を生じた症例の断端管理とソケットについて報告する(表1,2).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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