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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル27巻6号

1993年06月発行

文献概要

特集 小児の理学療法

重度重複障害児の訪問指導における理学療法士の役割と課題

著者: 山本和儀1 伊藤晴人1 野村典子1 林伸子1 山本純子1 森山雅志1 吉岡善隆1 山本正弘1

所属機関: 1大東市保健医療福祉センターリハビリテーション課

ページ範囲:P.379 - P.386

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 1初めに

 重度重複障害児の訪問指導においては,その対象となる子どものもつ「障害」の捉え方とアプローチの方法が施設や病院でのそれと大きく異なるということを,われわれは次のように整理している.

 いろいろな意味で用いられていた「障害」ということばの意味を明らかにするために,インペアメント(機能・形態障害),ディスアビリティー(能力障害),ハンディキャツプ(社会的不利)とWHOが分類したことは,よく知られている.このハンディキャップ,ディスアビリティー,インペアメントの三者は密接に関連し合っており,ハンディキャップの解消のために食事などのADL障害など(ディスアビリティー)の維持・改善や廃用性症候群予防〔(二次障害を機能障害として捉え予防する)(インペアメント)〕へのアプローチを行なうことである.

 訪問指導は,上に述べた三つの分類の中で図1に示したようにその基本とするものが,ハンディキャップを解消していくことであるという捉え方をしている.ハンディキャップを解消していくということはディスアビリティーが有ったとしてもそれをハンディキャップにさせないということである.つまり障害児が自分の望む生活(人生)を選びとっていくことであり(決定できない場合は家族が),周囲はそのことを尊重し障害児のディスアビリティーをあらゆる方法で軽滅しハンディキャップを消去していくことである.言い換えればノーマライゼーションの考え方を具現化することである.具体的には障害児とその家族が自由に外出し,人と交流できる地域環境づくりや,障害児の生活を地域社会全体で支援していくという住民意識を育てていくようなアプローチをリハビリテーションチームの一員としてわれわれも担っていくことである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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