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特集 理学療法研究の取り組み
理学療法における臨床研究の現況と展望
著者: 網本和1 黒澤保壽1
所属機関: 1聖マリアンナ医科大学病院リハビリテーション部
ページ範囲:P.15 - P.19
文献購入ページに移動不確実な現代の中で確かなことが少なくとも一つある.すなわち理学療法士であれば一度は,必ず臨床の現場で患者さんと向き合いその治療に携わるということである.
そのとき自分の行なっている治療の効果があるのか,という疑問に苛まれない理学療法士が存在しないのもまた確実であろう.この治療効果に関する逡巡こそ臨床研究を駆動する源泉となることが重要である.
臨床研究の目標について砂原(1988)は,「患者の利益に貢献すること」にあり,「研究のための研究を含めた基礎医学研究と対立する.」と述べている.筆者は必ずしも基礎医学研究と対立するものではないと考えるが,このように(当然ながら)われわれは患者の利益に資するべく臨床研究を進めてゆくことになる.
したがって本稿では患者を扱い,その治療に関する論文の分析を通して臨床研究の方法論的科学性について考察を行ないたい.
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