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文献概要
特集 理学療法研究の取り組み
地域理学療法の研究課題と方法論
著者: 伊藤日出男1 金沢善智1
所属機関: 1弘前大学医療技術短期大学部
ページ範囲:P.25 - P.31
文献購入ページに移動最近地域リハビリテーションあるいは地域理学療法に関して,学会や関連雑誌に多くの研究が発表されるようになり,また勝れた実践報告書が刊行されるようになった.一昔前のように地域活動というと何やら泥臭く,一部の変わり者だけが携わっている分野と思われ勝ちであった時代と比較するとまさに隔世の感がある.
多分筆者(伊藤)もその変わり者と見られていた一人として,1970年ころから青森や秋田の農村において主として脳卒中後遺症者を対象とする地域リハビリテーションに従事していた.現在は弘前大学医療技術短期大学部において地域理学療法の教育方法を模索し,試行錯誤している.また金沢は,理学療法業務の傍ら障害者の家屋改造の問題に関心を寄せ,大学および大学院で建築学を専攻したという変わり種の理学療法士である.したがって標題について論ずる適任者とは思えないが,筆者自身が現在かかえている研究課題と方法論を中心に述べることでその責を果たしたい.
前もって本論で使用する言葉の意味を規定しておきたい.ここで言う地域理学療法(または地域活動)とは,地域社会を基盤とした理学療法の実践を意味し,地域リハビリテーションの一翼を担うものと位置付ける.しかし地域リハビリテーションと地域理学療法は明確に区別できない面もあるので,厳密に範囲を限定しないで使用する場合もあることを予めお断りしておきたい.
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