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文献概要
特集 脊髄損傷者の社会参加とQOLの向上
脊髄損傷者のADL訓練と社会参加
著者: 平上二九三1
所属機関: 1吉備高原医療リハビリテーションセンター
ページ範囲:P.667 - P.673
文献購入ページに移動 Ⅰ.初めに
第4頸髄損傷者(以下,C4)の金子氏は,チンコントロールのリクライニング式電動車いすで渡米し,その体験から「欧米の脊髄損傷者は,日本のようにアクセス(交通機関,建物,街の構造)の問題を心配することなく,自由に出掛けることができる.」と述べている1).
ところが我が国の公共交通は,ほんの一部の都市で車いすリフト付きバスが走っている程度で,電車もプラットホームまで階段の障壁がある.したがって,これらを性急に利用することはできない.一方,日本式家屋の生活様式は,洋式構造に比べて車いす生活に向いていないのは明らかである.玄関,廊下,トイレ,浴室,敷居,畳,襖など段差や仕切りが多く,狭い.このため生活動作は,必然的に垂直な移動を強いられ,特にトイレや浴室の改造を余儀無くされる.
本稿はこのような生活環境を十分考慮し,慢性期の脊髄損傷者におけるADL評価と訓練の工夫や在り方について述べる.また社会的自立や社会参加に視点を置いた脊髄損傷者の理学療法について,臨床現場に通じた基本的な考えを模索してみる.
第4頸髄損傷者(以下,C4)の金子氏は,チンコントロールのリクライニング式電動車いすで渡米し,その体験から「欧米の脊髄損傷者は,日本のようにアクセス(交通機関,建物,街の構造)の問題を心配することなく,自由に出掛けることができる.」と述べている1).
ところが我が国の公共交通は,ほんの一部の都市で車いすリフト付きバスが走っている程度で,電車もプラットホームまで階段の障壁がある.したがって,これらを性急に利用することはできない.一方,日本式家屋の生活様式は,洋式構造に比べて車いす生活に向いていないのは明らかである.玄関,廊下,トイレ,浴室,敷居,畳,襖など段差や仕切りが多く,狭い.このため生活動作は,必然的に垂直な移動を強いられ,特にトイレや浴室の改造を余儀無くされる.
本稿はこのような生活環境を十分考慮し,慢性期の脊髄損傷者におけるADL評価と訓練の工夫や在り方について述べる.また社会的自立や社会参加に視点を置いた脊髄損傷者の理学療法について,臨床現場に通じた基本的な考えを模索してみる.
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