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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル28巻11号

1994年11月発行

文献概要

プログレス

難聴に対する人工内耳・2

著者: 舩坂宗太郎1

所属機関: 1東京医科大学耳鼻咽喉科学教室

ページ範囲:P.765 - P.765

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 2)人工内耳による言語聴取能

 以下に述べるのは,聞き取りテストを完了した患者23名の成績である.ただし,これらの患者は旧型のスピーチ・プロセッサを使用したもので,最新の型ではさらに聞き取りやすくなっている.対象患者の要点を表1に示した.すべて言語を習得した後に聾となった患者(postlingual deaf)である.

 母音の聴取テストは,ランダムに配列された5母音を検査者が読み上げて被験者が答える方式で,人工内耳のみでの正答率は大半が85%以上であった(表2参照).つまり,実際の会話では母音の聞き分けはまず問題無いとしてよい.表3は子音の聴取テストの結果である.この検査では,/p,t,k,b,d,g,m,n,s,z,h,r,y,w/の14子音の前後に/a/を付けて「アパ」,「アタ」…と発音し,人工内耳+読話(A+V),人工内耳のみ(A),読話のみ(V)という条件で行なった.A+Vでの正答率は64~97%となり,平均値は85%であった.一語しか発音されない子音(単音節という)でこの程度の開き分けができるということは,単語や文を使う日常会話は十分可能であることを示している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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