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講座 行動科学・5
行動科学の医学領域への応用
著者: 西村良二1
所属機関: 1広島大学総合科学部
ページ範囲:P.775 - P.781
文献購入ページに移動 Ⅰ.何故,行動科学が医学の領域に必要とされるのか
医学の領域内に,行動科学の需要が高まったのには,幾つかの要因がある.
1.疾病パターンの変化
20世紀までは,病気や死の主な原因は,急性疾患,特に結核,肺炎,その他の感染症であった.こうした感染症は,しばしばウイルスやバクテリアの侵入の結果生じる,短期間の疾患で,ふつう,治るか死亡するかであった.ところが今日の主な疾患である慢性疾患は,例えば心臓病や癌そして糖尿病などは,典型的には,治癒できる病気ではなく,患者と臨床家が一緒になってマネージしていく病気である.この慢性疾患は,発病や経過もしくは治療において,心理的そして社会的要因が絡んでおり,また,これらの慢性疾患は,その疾患と長年一緒に付き合いながら生きていかなければならないから,そこには,二次的にも心理的,社会的問題が生じてくるのである.
医学の領域内に,行動科学の需要が高まったのには,幾つかの要因がある.
1.疾病パターンの変化
20世紀までは,病気や死の主な原因は,急性疾患,特に結核,肺炎,その他の感染症であった.こうした感染症は,しばしばウイルスやバクテリアの侵入の結果生じる,短期間の疾患で,ふつう,治るか死亡するかであった.ところが今日の主な疾患である慢性疾患は,例えば心臓病や癌そして糖尿病などは,典型的には,治癒できる病気ではなく,患者と臨床家が一緒になってマネージしていく病気である.この慢性疾患は,発病や経過もしくは治療において,心理的そして社会的要因が絡んでおり,また,これらの慢性疾患は,その疾患と長年一緒に付き合いながら生きていかなければならないから,そこには,二次的にも心理的,社会的問題が生じてくるのである.
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