icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

理学療法ジャーナル28巻12号

1994年12月発行

雑誌目次

特集 脳外傷

脳外傷の発生機序と病理,病態

著者: 梅村淳 ,   永井肇

ページ範囲:P.800 - P.804

 Ⅰ.初めに

 脳外傷による脳損傷の程度は多種多様であり,一見同じような頭部外傷でも死に至るものから,何ら神経症状を残さず回復するものまである.また,脳外傷の後遺症としては脳卒中の場合にみられるような麻痺だけではなく,前頭葉や側頭葉の損傷に起因する精神症状,および知的機能の低下が問題となることが多い.

 脳外傷の病態についてはCTの導入により飛躍的にその理解が深まってきており,本稿では最近の考え方を中心に脳外傷の発生機序および病理,病態について解説する.

脳外傷のリハビリテーション

著者: 渡邉修 ,   大橋正洋

ページ範囲:P.805 - P.810

 Ⅰ.初めに

 大きな交通事故の件数は,1970年をピークに急激に減少したが,1977年ころから再び上昇傾向にある.交通事故による多重外傷の70%は脳外傷を合併しているため,交通事故の増加は,脳外傷者の増加を意味する.一方,救命技術の著しい進歩によって,交通外傷者の致死率は,1970年に1.7%だったものが,1988年には1.37%に減少した1).しかし救命された後で脳機能障害を残す場合が多く,救命はできても,救脳という面では多くの課題を残していると言える.

 脳外傷は,外力が加わる機転や脳損傷の程度から,多くに分類される.しかし基本的には,脳の損傷が一部分にとどまっている,局所損傷(focalinjury)と脳全体に損傷が及ぶび漫性損傷(diffuseinjury)に分類できる.この分類はその後のリハビリテーションを行なう上でもつねに考慮しておくことが必要である.

 本稿では,外傷患者の一般的な評価方法について述べ,次いで,び漫性脳損傷を中心に,神奈川リハビリテーション病院の経験を基に,①身体機能面,②知的機能面,③心理社会行動面の順に脳外傷患者の問題点を考察する.

脳外傷の理学療法

著者: 佐藤房郎 ,   北村啓

ページ範囲:P.811 - P.816

 Ⅰ.初めに

 脳外傷の特徴はその発生機序からみれば急激かつ不規則に加わる外力のため,脳の損傷部位も局在的でなく瀰漫性である.そのため臨床症状は多彩で,予後の予測は困難な場合が多い.

 脳外傷の理学療法を進める上で,後遺症の問題は大きく運動機能障害と認知障害とに分けられる.患者の行動はこれら二つの要素が影響し合ったものであるが,主たる問題が何であるかによって私たちの関わり方も当然異なってくる.以下に,脳外傷の回復過程を急性期,回復期,慢性期に分け,各時期の理学療法の具体的な目標とアプローチについて述べてみたい.

脳外傷の症例報告―機能低下をみた症例

著者: 加藤祝也 ,   佐藤昌代 ,   渋谷健一郎

ページ範囲:P.817 - P.822

 Ⅰ.初めに

 脳外傷のリハビリテーションは,その病態の多様性から困難を伴い,しかも脳外傷患者の発生が若年齢層に多いことが社会上大きな問題となっている.脳外傷のリハビリテーションについて大橋1)は本邦と米国との比較を報告し,水落2)はニューヨーク大学Head Trauma Programについて紹介し,脳外傷患者の遭遇する困難な状況と対策について述べている.

 脳外傷患者の多くは適切な初期治療とリハビリテーションによって身体機能面では良好な回復をみせるが,社会復帰には認知機能障害や記憶障害などの高次脳機能障害が大きな阻害因子となっている.また,残念ながら受傷直後より機能回復がみられない者や,経時的に機能低下を来す者も存在している.

 本稿では,経過中に機能低下がみられた症例を呈示し,脳外傷患者の機能訓練に携わる諸兄から多くの御意見,御批判を仰ぎたい.

合併症を有する脳外傷のリハビリテーション

著者: 平山昌男 ,   小嶋功 ,   堀口ゆかり ,   山口はつね ,   山下隆昭

ページ範囲:P.823 - P.828

 Ⅰ.初めに

 外傷による脳損傷はその拡がりや病理学的な違いや,年齢,合併症などの因子の影響により脳血管障害とは経過や予後が異なると考えられるが,それらについての報告は少ない.

 今回,リハビリテーション治療を主目的として当センターに入院した頭部外傷患者について,ADLの変化と年齢や入院期間,合併症などの関係を検討した.また,入院時はADLの介助量が多かったが退院時には予想以上に回復がみられた数例の症例と合わせて報告する.

とびら

親の気持ち

著者: 宮前信彦

ページ範囲:P.799 - P.799

 私は障害を有した子どもたちと母親に接するとき,自分自身の子育ての経験がおおいに役だっていることに気付かされる.実際考えてみれば,親を経験するということはいろいろなことを体験し,子どもともども自分自身をも発達させるということだからであろう.

 われわれ理学療法士は,親が我が子の障害を受容しようとすることを援助するとき(親が子どものありのままを受け入れようとするとき),親の気持ちを思いやり,彼ら自身を受け入れる必要がある.

入門講座 器具を用いた運動療法・6

器具を用いた在宅障害者の運動・生活指導

著者: 金指巌

ページ範囲:P.829 - P.833

 Ⅰ.初めに

 全国的な高齢化の進行に伴い,訪問看護や訪問リハビリテーションなどの在宅医療の推進が図られるとともに,老人保健法の機能訓練や訪問指導をはじめとした保健事業やデイサービス,ショートステイなどの福祉事業など,市町村単位で保健・福祉サービスの充実強化が進められている.

 こうした中,医療機関を退院後,障害を有した状態で家庭生活を送っていくには,運動機能(生活動作能力)をいかにして維持していくかが重要な問題であり,われわれ理学療法士にとっても“在宅”はこれからの重要なキーワードであると言える.

 しかし現実の在宅の状況に目を向けてみると,医療機関で理学療法士が患者の退院時に行なった指導が,はたして家庭で指導どおりに実行されているだろうか?,日々の訪問指導などの業務の中で,実際に行なわれている現在の退院時指導の在り方に対し疑問をもつことも少なくない.

 今回,「器具を用いた在宅障害者の運動・生活指導」というテーマであるが,在宅で生活している数多くの障害者や高齢者に接する中で,退院後の生活指導や身体的な機能維持を在宅でどのように行なっていくか,筆者自身,未だに頭を悩ますところであり,実際のところ明確な答えは持ち合わせていない.

 このような状況から,論を進めるに当たり,障害者の身体機能の維持を図っていくための運動や生活指導を生活という観点から広義に捉えて,それらの方針について考えていきたい.

講座 行動科学・6

行動科学的視点からみた理学療法

著者: 奈良勲 ,   永冨史子 ,   辻下守弘

ページ範囲:P.835 - P.839

 Ⅰ.初めに

 6回シリーズの講座「行動科学」は今回で最終回を迎える.これまで,その基本概念に始まり,構築過程,進歩,学際領域,そして医学領域への応用などについて最近の動向を交えてそれぞれの執筆者に論述いただいた.

 この講座を企画した筆者(奈良)は,理学療法を行動科学的視点で捉えることの重要性を,過去20年近く意識し続け1),かつそれを臨床場面で試行してきた.

 行動科学を専門にするそれぞれの執筆者の論文を拝読すると,ミクロ的,マクロ的研究が著しく進歩している事実を認識させられる.

 行動科学の進歩を理学療法に関連付けて厳密に論じることは,この段階では困難だが,少なくともその論理を展開し,共同執筆者らによる症例報告を通じてその方法論を模索してみたい.今後,行動科学的視点からみた理学療法が発展する契機にでもなれば幸いである.

1ページ講座 生理学的診断・12

腎機能検査

著者: 石堂哲郎

ページ範囲:P.840 - P.840

 腎臓の働きには,血液から尿を生成し老廃物を体外に排泄する排泄臓器としての働きと,水分・電解質の調整など体内の恒常性を保つ働き,そしてホルモン(血圧や造血,Ca代謝などに関係する.)を分泌する内分泌臓器としての働きがある.そのため腎臓には心搏出量の約1/4もの大量の血液が供給されており,酸素の消費量も多い(腎臓2個の重量は体重の1/250程度である.).つまり,腎臓は生命を維持していくためには非常に重要な臓器であると言える.この腎臓の機能に影響を与える要因としては,①腎前性(血管性).②腎性(腎炎など),③腎後性に分けることができる.特に神経系の疾患では,排尿機能(膀胱・尿道機能)が多少なりとも傷害されるために,二次的に腎臓機能に影響が及び(腎後性),結果として生命の予後を左右する可能性が生じてくる.したがって,神経系の疾患を扱う医療従事者は腎機能についてつねに配慮し,適切な対処(不可逆的な変化が起こる前に対処することが重要である.)をしていかなければならない.

印象に残った症例

外傷性脳損傷児の両親の障害受容;復学について考えさせられた一症例

著者: 本川由美子 ,   海老原理恵 ,   松田直樹 ,   亀崎高夫

ページ範囲:P.841 - P.843

 Ⅰ.初めに

 頭部外傷によるび漫性軸索損傷によって意識障害を来した場合,予後不良なことが報告されている1,2).また回復した場合でも運動機能の障害だけでなく記憶や注意力・運動面の障害が残存することも言われている3)

 今回交通外傷によるび漫性軸索損傷を来し植物状態となり,受傷後3か月ごろから意識が徐々に覚醒してコミュニケーション,運動機能などに回復がみられた症例があった.

 今後も運動機能だけでなく,教育面や社会面等でさまざまな問題を抱えているこの症例について1994年4月までの経過と若干の考察について報告する.

論説

多様化する保健医療二ーズと理学療法の方向性

著者: 辻下守弘

ページ範囲:P.844 - P.844

 理学療法は,医学的リハビリテーションの一領域として,主に生物医学の知識(解剖学,生理学,運動学など)に基づいた治療として体系付けられてきた.これは歴史的にみて,理学療法が物理的手段による生体の反応を各種疾患の治療に応用する技術として生まれたことに起因すると思われる.しかし,このような生物医学としての理学療法は,生体の病理学的異常を完治,あるいはかなりの程度まで回復させることができる機能障害(整形外科術後の後療法や軟部組織の損傷など)に対しては有効であるが,本来リハビリテーションの対象となる脳卒中,脊髄損傷,切断などのように物理的手段をしても病理学的異常を回復できない永久的な機能障害に対しては効果的ではない.

 よって,医学的リハビリテーションにおける理学療法は,残存機能を最大限高め,能力障害の予防・改善に高い専門性と独自性とを発揮することに意義がある.これは理学療法が物理的手段を応用した治療的アプローチというよりも,むしろ教育的アプローチであることを示唆している.さらに,現在の理学療法は,地域リハビリテーション,健康増進,各種神経難病のケア,そして糖尿病,高血圧などの慢性疾患に対する必要性も認識され,単に理物的手段を疾患の治療に応用するのではなく,国民の健康問題について広い視野に立って研究する学際領域になりつつある.

プログレス

在宅酸素療法

著者: 芳賀敏彦

ページ範囲:P.845 - P.845

 1.初めに:今からもう20年も前になるが,結核の後遺症で病院で酸素吸入を続けていた10数人に在宅で酸素吸入が行なえるようにして,入院の味気無い生活から快適な自宅での生活に帰らせたのが初めである.今我が国の医療はこの酸素療法に限らず,病院から在宅療養へと多くの疾患が移りつつある.今日在宅酸素療法を受けている患者は約4万人に達している.

理学療法草創期の証言

日本理学療法士協会“事始め”

著者: 遠藤文雄

ページ範囲:P.846 - P.846

 日本における理学療法士の黎明期に居合わせた歴史の証人として日本理学療法士協会の誕生の一コマにつき筆を進めることにする.

 日本理学療法士協会の誕生は1966年7月17日である.この日われわれは14人のリハビリテーション学院卒業生と特例受験資格で国家試験を受け合格した183人中65名の参加者と55名の委任状合わせて110名で,歴史的設立総会をリハビリテーション学院講堂において行なった.

外国人講師の見識も学んだ

著者: 伊藤直榮

ページ範囲:P.847 - P.847

 砂原先生が「PT,OTの誕生は経済成長の落と子の一つであり,運の良いほうだ.」「それだけに生まれたからには,その良運を生かしてつくった人々がびっくりするような成長をしてほしいし,そうなる内容をもっている職種である.」とおっしゃった.PT,OTの卵どもは,前段でがっかりさせられ,後段で心を引き締めて,「よしやるぞ!」と元気を取り戻したものだ.

 ところで,私が清瀬のリハビリテーション学院を知ったのは1964年の朝日新聞でConine女史との対談記事を見たときで,その内容に引き付けられて1965年4月第三期生として入学した.理学療法専門科目はRidleyとNashの両女史より英語で教わったが,教科書代わりの箇条書きにしたパンフレットをいただかなかったら,ほとんど理解できなかったと思う.理解するにはかなり勘に頼っていたというのが実情であった.英語にさらされて英語には慣れたが,英語能力が急に上がったとは考えられない.臨床実習を行なうため米軍基地病院へ通ったが,ジェスチュア入りで,これをやれ,あれをやれと言われたことは理解して実行できたが少し説明が長くなったり,宿題を口頭で与えられると取り違えていることが少なくなかった.宿題はメモ用紙を渡して書いていただくことにした.

あんてな

障害者関連法制・行政機構に統合化の動き

著者: 藤井克徳

ページ範囲:P.848 - P.848

 障害者分野に新たな潮流

 今,我が国の障害者分野はこれまでにない大きな転換期を迎えようとしている.

 国際障害者年(1981年)から数えて13年余を経るが,当時国連から示された「国連決議」や「世界行動計画」はその後の我が国における中央・地方の障害者行政や民間の運動・事業に多大な影響をもたらした.「国連・障害者の10年」から「アジア・太平洋障害者の10年」(1993年~2002年)へと引き継がれることになったが,その初年を飾るかのように昨年23年ぶりに心身障害者基本法が改正され,障害者基本法として名実ともに新たなスタートを切ることになった.そして今年に入って,懸案であった障害者施策に関する行政機構の改革の機運が一挙に高まり,「障害者保健福祉施策推進本部」なる障害種別を越えての横断的な機構がデビューすることになった.瑞兆はあったもののそのテンポは,予想をはるかに越えるものであった.

資料

第29回理学療法士・作業療法士国家試験問題(1994年度) 模範解答と解説・Ⅵ―理学療法・作業療法共通問題(3)

著者: 坂江清弘 ,   森本典夫 ,   吉田義弘 ,   前田哲男 ,   吉元洋一 ,   大重匡 ,   佐々木順一 ,   高江玲子 ,   山口尚美

ページ範囲:P.849 - P.851

学会印象記

香港理学療法協会創立30周年を記念して開催された第1回国際理学療法学会に出席して

著者: 武富由雄

ページ範囲:P.852 - P.852

 “The Science and Art of Physiotherapy”のテーマの下に第1回国際理学療法学会が香港理学療法協会主催で,1993年7月23日から25日までの3日間,香港世界会議・展示場で開催された.

 本学会は香港理学療法協会が創立されてから30周年を記念して開かれた国際学会である.国際学会にふさわしくオーストラリア,カナダ,ガーナ,英国,日本,ケニア,ニュージランド,ノルウェー,アイルランド,シンガポール,南アフリカ,スウェーデン,米国,ベネズエラなどの国々から参加,香港会員を含めて約200名の出席があった.

第29回全国研修会

基本知識から社会的ニーズまで学んだ―臨床運動学の重要性を再認識

著者: 井上悟

ページ範囲:P.858 - P.859

 1.初めに

 第29回全国研修会は群馬県理学療法士会が担当し,水と緑と詩のまち前橋市で1994年10月6・7日の2日間にわたり開催された.今回の研修会のメインテーマは「臨床運動学と理学療法」である.高木武二研修会長の挨拶の中では,理学療法の知識と技術の多様化,高度化が求められている現状に則し,理学療法の学問的基礎となる臨床運動学の再確認の意味からメインテーマとして取り上げたと述べられた.派手さの無いテーマではあるが,理学療法が医療の中でもっともその専門性を求められる分野でもあり必要不可欠のテーマと考えられる.プログラムはまず特別講演で「機能障害の臨床運動学的分析」について学び,この内容を踏まえて,各専門分野に分かれ臨床運動学に関する分科会がもたれた.また特別企画として,四つのセミナーが開催された.

 私は大学病院に勤務する一理学療法士であるため,当院での理学療法に求められるニーズ,個人的興味から,今回聴講できた講演内容の紹介とその印象について述べさせていただく.

報告

ねたきり老人の下肢拘縮の実態

著者: 武富由雄 ,   市橋則明

ページ範囲:P.853 - P.856

 Ⅰ.初めに

 「ねたきり老人」とは,何らかの原因で6か月以上臥床のままでいる65歳以上の老年者を言う1).我が国では「ねたきり老人」は現在ほぼ60万人いると言われ2),「ねたきり」は人口の高齢化に伴い避けられない問題として受けとめられている3).1991年ロンドンで開催された第11回世界理学療法連盟の学会では“NETAKIRIROJIN”の演題発表に対して関心がもたれた4).西暦2000年には,その数が100万人(2倍近くなる.)に達すると言われている5~7)

 「ねたきり」を招く身体的要因としては;脳血管障害,骨関節障害などがあり,これら一次性疾患により長期にわたって臥床すれば,低運動に基づいて二次性に関節拘縮や筋萎縮といった廃用性症候群を進行させる8).静的な臥床姿勢を6か月以上続ければ四肢,特に股関節,膝関節,足関節に拘縮が起こり,トイレ動作,立ち-座り動作,歩行など下肢の機能動作が著しく困難・あるいは不能となる9).老年者の関節可動域についての報告はあるが10,11),「ねたきり老人」の下肢の拘縮肢位の類型別についての報告は少ない.

 そこで,今回6か月以上の臥床老年者を対象に股・膝・足関節の拘縮肢位の調査を施行,拘縮肢位を類型別に分類し検討を加えて報告する.

クリニカル・ヒント

片麻痺者の健側

著者: 吉田純

ページ範囲:P.857 - P.857

 いわゆるファシリテーションテクニックが本邦に紹介されて以来,その有効性,限界についてさまざまな考えが出されてきた.ちょうど下着についた「とげ」のように,時々思い出したように,チクリと刺し,ようやくそれにも慣れてきたころ,再び頭をもたげるが如く論議の対象となる.

 現在までのところ,確立された片麻痺の理学療法は無いのが実情であろうが,ファシリテーションテクニックが,専ら,患側の機能向上を主眼としている(実際には必ずしもそうではないが)ことへの反駁から,健側の機能維持・強化こそだいじであるとする方法も存在する.

--------------------

文献抄録

ページ範囲:P.860 - P.861

編集後記

著者: 吉尾雅春

ページ範囲:P.864 - P.864

 1994年も終わりを告げようとしています.猛暑,渇水に泣き,そして政治はこれ以上ありえないほどの不透明さ.良かったことは景気が少し上昇に転じていることと,異論はおありかもしれませんが,長嶋巨人軍が日本一になったことくらいでしょうか.来年は猪が取り仕切るそうなので,ぜひ,はっきりした社会にしてほしいものです.

 さて,本号の「特集」は“脳外傷”です.その病態や予後,リハビリテーションの在り方など,臨床で困惑している諸氏も多いものと思います.まず基礎として,梅村氏には脳外傷の発生機序と病理,病態について非常にわかりやすくまとめていただきました.渡邉氏には脳外傷によるさまざまな障害の評価と,対策・対応について要領良く解説していただきました.リハビリテーションを担う者が基本的に理解しておかなければならないことが網羅されています.体幹筋の緊張異常によってその固定がうまく行なえないことの多い脳外傷の理学療法は佐藤氏にお願いしました.

基本情報

理学療法ジャーナル

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1359

印刷版ISSN 0915-0552

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

icon up
あなたは医療従事者ですか?