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特集 脳外傷
脳外傷のリハビリテーション
著者: 渡邉修1 大橋正洋1
所属機関: 1神奈川県総合リハビリテーションセンターリハビリテーション医学科
ページ範囲:P.805 - P.810
文献購入ページに移動 Ⅰ.初めに
大きな交通事故の件数は,1970年をピークに急激に減少したが,1977年ころから再び上昇傾向にある.交通事故による多重外傷の70%は脳外傷を合併しているため,交通事故の増加は,脳外傷者の増加を意味する.一方,救命技術の著しい進歩によって,交通外傷者の致死率は,1970年に1.7%だったものが,1988年には1.37%に減少した1).しかし救命された後で脳機能障害を残す場合が多く,救命はできても,救脳という面では多くの課題を残していると言える.
脳外傷は,外力が加わる機転や脳損傷の程度から,多くに分類される.しかし基本的には,脳の損傷が一部分にとどまっている,局所損傷(focalinjury)と脳全体に損傷が及ぶび漫性損傷(diffuseinjury)に分類できる.この分類はその後のリハビリテーションを行なう上でもつねに考慮しておくことが必要である.
本稿では,外傷患者の一般的な評価方法について述べ,次いで,び漫性脳損傷を中心に,神奈川リハビリテーション病院の経験を基に,①身体機能面,②知的機能面,③心理社会行動面の順に脳外傷患者の問題点を考察する.
大きな交通事故の件数は,1970年をピークに急激に減少したが,1977年ころから再び上昇傾向にある.交通事故による多重外傷の70%は脳外傷を合併しているため,交通事故の増加は,脳外傷者の増加を意味する.一方,救命技術の著しい進歩によって,交通外傷者の致死率は,1970年に1.7%だったものが,1988年には1.37%に減少した1).しかし救命された後で脳機能障害を残す場合が多く,救命はできても,救脳という面では多くの課題を残していると言える.
脳外傷は,外力が加わる機転や脳損傷の程度から,多くに分類される.しかし基本的には,脳の損傷が一部分にとどまっている,局所損傷(focalinjury)と脳全体に損傷が及ぶび漫性損傷(diffuseinjury)に分類できる.この分類はその後のリハビリテーションを行なう上でもつねに考慮しておくことが必要である.
本稿では,外傷患者の一般的な評価方法について述べ,次いで,び漫性脳損傷を中心に,神奈川リハビリテーション病院の経験を基に,①身体機能面,②知的機能面,③心理社会行動面の順に脳外傷患者の問題点を考察する.
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