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論説
多様化する保健医療二ーズと理学療法の方向性
著者: 辻下守弘1
所属機関: 1高知医科大学附属病院理学療法部
ページ範囲:P.844 - P.844
文献購入ページに移動 理学療法は,医学的リハビリテーションの一領域として,主に生物医学の知識(解剖学,生理学,運動学など)に基づいた治療として体系付けられてきた.これは歴史的にみて,理学療法が物理的手段による生体の反応を各種疾患の治療に応用する技術として生まれたことに起因すると思われる.しかし,このような生物医学としての理学療法は,生体の病理学的異常を完治,あるいはかなりの程度まで回復させることができる機能障害(整形外科術後の後療法や軟部組織の損傷など)に対しては有効であるが,本来リハビリテーションの対象となる脳卒中,脊髄損傷,切断などのように物理的手段をしても病理学的異常を回復できない永久的な機能障害に対しては効果的ではない.
よって,医学的リハビリテーションにおける理学療法は,残存機能を最大限高め,能力障害の予防・改善に高い専門性と独自性とを発揮することに意義がある.これは理学療法が物理的手段を応用した治療的アプローチというよりも,むしろ教育的アプローチであることを示唆している.さらに,現在の理学療法は,地域リハビリテーション,健康増進,各種神経難病のケア,そして糖尿病,高血圧などの慢性疾患に対する必要性も認識され,単に理物的手段を疾患の治療に応用するのではなく,国民の健康問題について広い視野に立って研究する学際領域になりつつある.
よって,医学的リハビリテーションにおける理学療法は,残存機能を最大限高め,能力障害の予防・改善に高い専門性と独自性とを発揮することに意義がある.これは理学療法が物理的手段を応用した治療的アプローチというよりも,むしろ教育的アプローチであることを示唆している.さらに,現在の理学療法は,地域リハビリテーション,健康増進,各種神経難病のケア,そして糖尿病,高血圧などの慢性疾患に対する必要性も認識され,単に理物的手段を疾患の治療に応用するのではなく,国民の健康問題について広い視野に立って研究する学際領域になりつつある.
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