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雑誌目次

雑誌文献

理学療法ジャーナル28巻2号

1994年02月発行

雑誌目次

特集 脳卒中リハビリテーションプログラムの各段階に応じた理学療法

総合病院における脳卒中早期リハビリテーションと理学療法

著者: 大竹朗 ,   石神重信 ,   長沖英行

ページ範囲:P.76 - P.81

 A.総合病院における脳卒中早期リハビリテーションと理学療法〔担当大竹朗〕

 Ⅰ.初めに

 早期リハビリテーション(以下,リハと略.)の重要性が叫ばれて久しいが,未だ十分にそれが行なわれているとは言い難い1).その主な理由として療法士の不足など2~5)が挙げられているが,実際に行なうに当たつては療法士の知識や技術のみでは対処できない面が多く,医師との協力が重要となり,チーム医療のたいせつさが浮かび上がってくる.

 脳卒中の早期リハは,廃用性症候群の予防が主とされ,良肢位保持・体位変換・関節可動域の保持6)のいわゆる理学療法3種の神器が重要とされてきた.しかし,良肢位・体位変換は看護婦による介護技術の一環と言ってもよく,理学療法士が関わるのは重度意識障害や全身状態の衰弱など重症例である.しかし,重篤な合併症の無い症例では早期から安全に座位保持訓練を行なうことが,廃用症候群の予防はもちろんのこと,積極的な理学療法展開に重要となってくる.そのためには,理学療法士に意識障害や循環器などのリスク管理の知識が必要になる.

 当院のリハの特徴は,他科よりの依頼が早く,リハ医の診察が早期に行なわれていることである.ベッドサイドのリハの指示箋も,リスク管理項目を含めたものとなる.また,理学療法士のベッドサイドおよび訓練室での治療開始に当たって主治医(リハ医)が同伴し,リスクが予想される患者は自動血圧計と心電図のモニターを行ない,自覚症状や血圧・心電図に異常を生じた場合は,直ちに対応できる体制としている.

 急性期のリハの是非は,脳の自動調節能の障害からくる症状変化に焦点が当てられている7,8)が,モニター監視下で行なう理学療法はリスクも少ない.

 今回,大学病院での理学療法の経験から,総合病院の立場で脳卒中の早期理学療法の進め方について述べたい.

都市型リハビリテーション専門病院における脳卒中プログラムと理学療法

著者: 野尻晋一 ,   山永裕明

ページ範囲:P.82 - P.87

 Ⅰ.初めに

 脳卒中のリハビリテーションは,病院での訓練室内のみでのリハビリテーションで良しとする時代は終わり,保健,医療,福祉の連携による在宅ケアまでかかわることが当たり前とされる,包括リハビリテーションの時代となった.

 熊本機能病院でも脳卒中のリハビリテーションは従来の病院でのリハビリテーションのみの考え方では対応できないとの認識に立っている1).よって病院併設の老人保健施設清雅苑が地域リハビリテーションの核としての役割を担うことにより,訪問看護,訪問リハビリテーション,デイケア,ショートステイを通じ在宅ケアを推進している.脳卒中リハビリテーションプログラムも,在宅ケアシステムの一連の流れ2)(図1)の中に段階的に組み込まれているのが当院の特徴である.この基本的枠組をふまえて以下,与えられたテーマについて述べることにする.

脳卒中リハビリテーションにおける外泊訓練の意義と理学療法

著者: 大川弥生 ,   関口春美

ページ範囲:P.88 - P.94

 Ⅰ.初めに

 リハビリテーション(以下,リハと略.)の進め方には単一のものがあるわけではなく,種々のやり方があり,大きく「段階論的方針」,「同時並行的方針」,「目標指向的方針」の三つに分けることができる1).リハ医療本来の意義を果たすには「目標指向的方針」が最良であり,その方針の下でリハプログラムを進めていくことは日常生活動作訓練(以下ADL訓練と略.)に関して言えば,ADL訓練を「‘するADL’向上に向けた訓練」2~4)として進めていくことに他ならない.

 本稿のテーマとなっている外泊訓練は,この「‘するADL’向上に向けたADL訓練」を進めていく際のポイントとも言うべき重要な役割を果たすもの3~7)である.すなわち外泊訓練はリハ開始時からリハプログラム内に明確に位置付けされて開始されるべきもので,リハプログラムのある時期になって初めて開始されたり,まして最後の仕上げとして行なわれるべきものではない.

 そこでまず「‘するADL’向上に向けたADL訓練」の基本的な考え方について述べた後,外泊訓練について話を進めることとする.

退院後在宅脳卒中患者の外来リハビリテーション継続と理学療法

著者: 松本茂男 ,   斎藤康弘 ,   山田伸

ページ範囲:P.95 - P.99

 Ⅰ.初めに

 脳卒中急性期における外科的,内科的治療の急速な進歩は脳卒中の死亡率を減少させてきたが,その機能的予後を改善するためには,発症後早期からのリハビリテーション(以下,リハと略.)治療が必要である1~4).発症早期からのリハにより,脳卒中の治療に要する入院期間も短縮され,総合病院からそのまま自宅退院可能となる患者も多くなる5).しかし,退院が間近になると,患者,家族の喜びも多い反面,退院後の生活に対する不安や身体面の不安などを訴えることも,日常の臨床で多く経験することである.病院内生活では自信をもっていることでも,家庭内では不安に思うADLもある.退院前の家庭外泊訓練で自信を無くする患者もあり,家族も退院後の生活に不安を強く抱くことがある.

 早期に自宅退院を進めようとする場合,再発や合併症に対する不安,障害受容の未成熟,家庭・家屋環境や経済的問題など,短期間には解決できない問題もある.退院前に可能な限り患者,家族の心配事を具体的に一つ一つ解決できることが望ましいが,退院後も外来でのフォローアップやリハの継続を通して家庭生活が安心して送れるようにする支援が必要である.

在宅脳卒中患者への訪問リハビリテーションと理学療法

著者: 石川誠 ,   伊藤隆夫

ページ範囲:P.100 - P.105

 Ⅰ.初めに

 1948年に制定された医療法は,37年後の1985年に第1次の改正が行なわれ,地域医療計画として病床規制による量的整備から質的整備への転換が図られた.7年後の1992年,第2次医療法改正が行なわれたが,これは良質な医療を効率的に提供する医療供給体制の確保を目的としている.要するに,適切なときに,適切な場で,適切な医療が,いつでも誰でも受けられるようにしようとしたものであり,在宅においても同様である.

 イギリスでは,在宅か施設かの大議論の末,在宅優先の結論に達し,同様に多くのヨーロッパの先進国も在宅優先である.これは単に経済的な問題で変化したのではなく,文化的歴史,生活の価値観にまで話が及ばないと理解しにくい.ヨーロッパでは日本と異なり家族福祉の発達無しに,在宅優先が実践されており,国民の経済的負担は我が国をはるかに越えている.これはノーマライゼーションの思想が成熟していることによるのであろう.

 しかし,日本においても医療法改正,診療報酬改定,高齢者保健福祉推進10か年戦略などによって在宅ケア重視の方向が明確に示されている.

とびら

こころがけていること

著者: 森三佐子

ページ範囲:P.75 - P.75

 海を眺めたとき,何を感じますか.開放感・安心感・感傷的想いなどさまざまだと思う.

 仕事をほぼ終え眺める海は安堵感とともに頬を撫でるここちよい風が疲れをも吹き飛ばし,気分をリフレッシュさせ何とも言い難い穏やかさを与えてくれる.しかし海はいつも穏やかではなく激しく荒れ,天候によっては恐さもある.

入門講座 介護方法論・2

生活援助の理論化―介護過程を通して

著者: 井上千津子

ページ範囲:P.107 - P.112

 Ⅰ.初めに

 私たちの日常生活は,さまざまな生活行為の連続から成り立っている.この生活行為とは,目的をもつ行動であり,生理的欲求,精神的欲求,社会的欲求を満たすための行為であると言える.

 高齢により身体の衰えに伴い,生活行為の遂行にさまざまな支障が発生し,周囲への依存が増していくことになる.

 そこで,生活行為を成立させるためには,さまざまな援助が必要になる.この生活援助の行為を介護と位置付けたい.

 この生活行為,つまり介護は,前述のさまざまな欲求を満たすために身体的な生活行為の代行援助と,家事機能の補完とが含まれる.介護と言えば,とかく身体的な援助と受け止められがちであるが,家事機能の維持補完が生活の基盤になることを強調しておきたい.

 この介護の目的を実にみごとに表現している一文を紹介したい.

 一番ヶ瀬康子氏は,次のように書いている.

 「人間はいかなる時でも,人間が信じられなくなったときほど不幸なことはない.ことに人生の最終段階で,それまでその人がどんなに栄耀栄華をきわめた人でも,まるで物のように扱われ,また侮蔑されて,この世を去るならば,それほど不幸なことはないであろう.

 介護という仕事は,人間の尊厳とプライドを保持することであり,人権保護の最後の仕あげをすることである」1)

 こうした介護の場としては,施設と在宅とがあるが,ホームヘルパーの経験を通して,在宅における介護について述べてみたい.

 ホームヘルパーとして,多くの高齢者や家族に出会い,生活にふれ,人生を垣間見てきた.そして言えることは,高齢者の生活は,家庭全体の生活の反映であり,また高齢者の状況が,家庭の在りようを左右しているということが言える.

 さらに,たとえおむつに包まれていようと,全面依存の寝たきりの状態であっても,「住み慣れた地域で,親しい人に囲まれて過ごしたい.」という願いがあり,重度の生活障害を抱えながらも,在宅生活を望んでいる人たちが多くなっている.

 しかし,こうした願いをかなえる条件が整っているとは言い難く,介護する家族も介護負担の増大から,健康を損ね,精神的にも不健康になり,経済面,住宅面,家族関係に至るまで生活上の問題が多様化してきていることは周知のとおりである.

講座 動作分析・2

運動学的視点からみた動作解析

著者: 畠中泰彦

ページ範囲:P.113 - P.118

 Ⅰ.初めに

 理学療法士が患者の障害を評価する上で動作分析は必要不可欠な項目であり,動作分析の結果を運動学的な視点から考察し,問題点に応じた理学療法の実施が可能であることは自明の理である.

 動作分析の方法は,目視によるものから大型の機器を使用するものまで多岐にわたるが,「患者の何を調べたいか」を理解し,これに適した方法を選択すべきである.特に臨床において理学療法士が機材を運用する場合は,精度と簡便性といった相反する要素が使用に耐えうるものでなければならない.

 本稿では理学療法士が動作分析を臨床応用する上で必要な知識および理学療法士の専門性への関連と将来の発展性について述べる.

1ページ講座 生理学的診断・2

脳波・2 臨床

著者: 天野直二

ページ範囲:P.119 - P.119

 脳波の基礎編の最後で脳波の読み方にふれたが,臨床的には,①覚醒安静閉眼時の基礎律動,②徐波の有無とその局在性,の視点が有用となる.脳波は主として,(1)てんかん,(2)脳腫瘍,脳血管障害や頭部外傷などの局在,(3)意識レベル,(4)特殊な疾患や病態,などの診断に重要な役割を果たしている.(1),(3),(4)では後述するように脳波の波形そのものが直接診断に結び付くことが多い.

プラクティカル・メモ

脳卒中片麻痺患者の屋外歩行用内反矯正バンド

著者: 三宅裕子 ,   市橋則明

ページ範囲:P.120 - P.120

 1.初めに

 片麻痺患者の歩行時の足関節の軽度内反に対しては,ストラップを付けた短下肢装具や軟性足部装具,または市販の内皮矯正用装具が処分されているが,軽度の者では装着の煩わしさや外観上の理由などにより退院後装着しなくなることも多い.しかし,屋内歩行では装具無しで問題のない者でも屋外で長距離歩行すると内反が出現し不安定となることもある.そこで今回靴にストラップを直接取り付けたところ,内反矯正に比較的効果的であったので紹介する.

プログレス

脊髄疾患の画像診断の進歩

著者: 青木茂樹 ,   町田徹

ページ範囲:P.121 - P.121

 1.初めに

 MRIの登場により1980年代には脊髄脊椎の画像診断は飛躍的に進歩した.1990年代に入り,MRIの進歩はいまだ続いてはいるが,疾患に関しては症例数が増して細かな所見を検討するようになってはいても新たな知見は少なくなってきている.それよりも,検査時間の短縮,三次元化,スキャン範囲の拡大などの方向での進歩がみられる.CTについても同様で,3D-CTは再構成の時間も短くなり,使いやすくなっている.ここではこういった診断装置の進歩について簡単にふれたい.

理学療法草創期の証言

理学療法士及び作業療法士法の経過措置期間延長について

著者: 田中國則

ページ範囲:P.122 - P.122

 理学療法士及び作業療法士法が公布された1965年6月から,(社)全国病院理学療法協会(以下,本会)は,積極的に受験対策を推進したが,その結果は,5年間で本会会員受験者数延6298名,うち合格者1154名で合格率18%強という惨憺たるものであった.

 1969年,本会代議員会は経過措置期間の延長を決議したが,厚生省,理学療法士・作業療法士両協会および各学会はこぞって反対であった.私は反対理由に対する反論の裏付けに全精力を傾注した.1970年に入っても結論が出なかったので,延長は柵上げにした.私が延長に関して何らの意思表示もしなかったので,某会の幹部から「お前はむじなだ.」と言われ,本会会員からは「俺たちを見捨てるのか.」と叱られたりした.板挟みの中で大袈裟に言えば,大石蔵之助の心境であった.

苦難の道

著者: 関川博

ページ範囲:P.123 - P.123

 1963年国立療養所東京病院附属リハビリテーション学院が開校した.1965年5月には,理学療法士の専門技術者の資格制度の確立を目的とした法律が国会において可決成立し,医学的リハビリテーションの中心となる重要な職種が誕生したのである.法案の成立を巡り,従来から従事してきた理学療法従事者は,1947年WHOの勧告によって,マツサージ師の問題点が指摘され,生活権を脅かされる重大な事態となり,問題解決のため協会を結成して,身分法獲得のために永年に亘り,法制度獲得への運動を続けていたので,理学療法士及び作業療法士法案が具体化されるや,理学療法従事者としての立場を主張し,多くの関係者の理解と協力を仰ぎ,経過措置としての処遇を訴え続けた.このため理学療法士及び作業療法士法の審議は,遅延したが,同法制度化の必要性から,衆参両院において,「1)経過措置としての試験については従来の経験を充分にしんしゃくして行なうこと.2)病院診療所以外において,理学療法又は作業療法を業としている者であっても医師の指示の下に,一定数以上の患者を扱っているものについては受験資格を付与すること.」の附帯条項が決議された.同付則に該当するものにとり,理学療法士国家試験受験の道が開かれたのである.

あんてな

片麻痺者のスキー

著者: 橋詰謙

ページ範囲:P.124 - P.124

 「片麻痺の人がどうしてスキーができるのか?」「なぜスキーをやる必要があるのか?」リハビリテーション医療に従事する方々にとっては,自然な疑問であろう.リハビリテーション医学の研究部門に所属しているが医師でも理学療法士でもない私には,このような“常識的”な発想は無かった.あるとき知人のリハビリテーション医から「スキーに行ってきた患者がいる.また行くと言っているんだが来ないか?」と誘われて出かけたのである.手足に麻痺があり,失語症もある彼らの表情は固く,そして暗かった.それは彼らの普段の表情であったかもしれない.スキーに対する不安であったかもしれない.

印象に残った症例

地域リハビリテーション活動に関わって考えたこと

著者: 伊藤晴人

ページ範囲:P.125 - P.127

 Ⅰ.初めに

 今日,「リハビリテーション」という言葉は,知らない人が少ないと言えるほど一般的になってきている.一般の人々は「リハビリテーション」という言葉を聞いて,「機能訓練」をイメージする人が多いと思うが,われわれ専門家もそういう傾向があるのではないだろうか.しかし,周知のとおり「リハビリテーション」とは全人的復権の意味のものであり,特に地域リハビリテーションは「生活の場」での活動であるので,障害の有無や年齢にかかわらず地域で住民として当たり前に,みんなと生活することが目標なのである.

 そのためには,障害児・者や高齢者の毎日の生活を家族とともに保健・医療・福祉・教育機関などの専門職や地域住民,ボランティアが支え,住民みんなが支援する仲間の一人として地域生活を送りながら連携し,総合的に取り組んでいくことがたいせつなのである.

学会印象記

第7回運動生理研究会夏期研修会/第15回全国地域リハビリテーション研究会

著者: 池田由美 ,   田中幸夫

ページ範囲:P.128 - P.128

 運動生理研究会主催の第7回夏期研修会が8月19~21日までの3日間,「運動・動作・作業分析」というテーマで,埼玉医科大学軽井沢研修センターにて開催された.動作分析は,理学療法を行なう上で重要である.私自身,動作の見方がパターン化してきて,思い込みやイメージでみてしまい,患者の動作そのものを捉えることができなくなっているのではないか,という思いと,分析した動作をわかりやすく伝えるためには,どう表現したらよいか悩むことが多い.以上のことから,他の人がどんな視点でみているのかに興味をもち,また,“軽井沢”という地名の響きにも誘われ,初参加することにした.

実習レポート

脳卒中片麻痺患者への訓練と反省点/Comment

著者: 鈴木優子 ,   吉尾雅春

ページ範囲:P.129 - P.132

 1.初めに

 脳血管障害の理学療法プログラムにおいて,軽度~中等度の患者には歩行訓練が行なわれる.“歩く”ことは患者の目標でもあり,私たち理学療法士もそこに時間をかける.患者に歩行訓練をさせる時正常歩行を知っていることが必要であるが,今回初めて歩行訓練まで患者を担当し,普段特に考えること無く行なっている歩行を患者に教えることの難しさを痛感させられた.また,訓練室での練習だけでなく,それを日常の生活にどんどん生かしていくべきであるのに,PTSが病棟でのチェックに目を向けるのが遅かったため身の回りの動作がほとんど介助で行なわれており,自立が遅れたというような大きな反省点も多かった.

症例報告

著明なジスキネジアを呈したParkinson病の長期経過例―抗Parkinson病剤の調整とリハビリテーションについて

著者: 土井篤 ,   野尻晋一 ,   野尻明子 ,   来海五美 ,   原田昌子 ,   加来克幸 ,   中西亮二 ,   山永裕明

ページ範囲:P.133 - P.136

 Ⅰ.初めに

 Parkinson病に対する抗Parkinson病剤(以下,抗パ剤と略.)療法では長期服用によるウエアリングオフ現象,アップアンドダウン現象,ジスキネジアなどが臨床上重要な問題である.今回,われわれも服用開始後20年を経て著明なアップアンドダウン現象,ジスキネジアを呈する症例を経験した.その症例に対し,評価表を用いた抗パ剤調整とリハビリテーションを行ない,症状の著しい改善を得たので報告する.

クリニカル・ヒント

医療機関における老人デイケア

著者: 辛島修二

ページ範囲:P.138 - P.139

 1.初めに

 1983年から老人保健法が施行され,医療機関において老人デイケアを行なうことが可能となった.その施設基準に係わる人的承認要領をみてみると,専従する理学療法士あるいは作業療法士が必要とされており,その基準の文面からしてその運営の中心は理学療法士あるいは作業療法士に期待されている.また,専従する理学療法士あるいは作業療法士の代わりに老人デイケア,精神科デイケア,理学療法もしくは作業療法の経験を有する専従する看護婦でもよいことになっているが,その場合には週1日以上勤務する理学療法士あるいは作業療法士が必要とされている.当院では1991年1月にこの施設承認を受け,約2年半が経過したが,そこで感じたことを述べてみたい.

学生から

ジャパン・パラリンピッククラス分け判定に参加して/女性理学療法士として職場における役割

著者: 池田耕二 ,   村岡真希子

ページ範囲:P.137 - P.137

 1992年9月12日の2日間にわたり第9回身体障害者水泳選手権大会が滋賀県立障害者福祉センターで開催されました.自分は同時に行われたジャンパン・パラリンピッククラス分け判定に参加する機会を得たので感想を述べます.

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文献抄録

ページ範囲:P.140 - P.141

編集後記

著者: 上田敏

ページ範囲:P.144 - P.144

 今年の冬は昨年に続いての暖冬との予報であったが,1月上旬までの気候をみると晴れの日は多いものの寒さはかなりきびしいようである.東京でも筆者の住む清瀬あたりになると都心よりは気温も2~3度低く,わずかながら雪も1回降っている.先の見えない不況と政治の昏迷も相変わらずで,お正月のめでたさも中位である.

 さて本号の特集は「脳卒中リハビリテーションプログラムの各段階に応じた理学療法」である.脳卒中に限った話ではないが,リハビリテーションは急性期を脱した慢性期に行なうもので,それも病院だけで完結するものだという古い考え方がまだあちこちに残っていないとは言えない.それを打破するために,もっとも多い対象疾患である脳卒中について,早期リハから在宅リハまでの各段階を取り上げ,おのおのの段階の特徴に応じてリハ・プログラムとその中での理学療法がどのように違ってくるのかをみようとした.

基本情報

理学療法ジャーナル

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1359

印刷版ISSN 0915-0552

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