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特集 脳卒中リハビリテーションプログラムの各段階に応じた理学療法
総合病院における脳卒中早期リハビリテーションと理学療法
著者: 大竹朗12 石神重信3 長沖英行3
所属機関: 1防衛医科大学校病院理学作業療法部 2国立犀潟病院附属リハビリテーション学院理学療法学科 3防衛医科大学校リハビリテーション部
ページ範囲:P.76 - P.81
文献購入ページに移動Ⅰ.初めに
早期リハビリテーション(以下,リハと略.)の重要性が叫ばれて久しいが,未だ十分にそれが行なわれているとは言い難い1).その主な理由として療法士の不足など2~5)が挙げられているが,実際に行なうに当たつては療法士の知識や技術のみでは対処できない面が多く,医師との協力が重要となり,チーム医療のたいせつさが浮かび上がってくる.
脳卒中の早期リハは,廃用性症候群の予防が主とされ,良肢位保持・体位変換・関節可動域の保持6)のいわゆる理学療法3種の神器が重要とされてきた.しかし,良肢位・体位変換は看護婦による介護技術の一環と言ってもよく,理学療法士が関わるのは重度意識障害や全身状態の衰弱など重症例である.しかし,重篤な合併症の無い症例では早期から安全に座位保持訓練を行なうことが,廃用症候群の予防はもちろんのこと,積極的な理学療法展開に重要となってくる.そのためには,理学療法士に意識障害や循環器などのリスク管理の知識が必要になる.
当院のリハの特徴は,他科よりの依頼が早く,リハ医の診察が早期に行なわれていることである.ベッドサイドのリハの指示箋も,リスク管理項目を含めたものとなる.また,理学療法士のベッドサイドおよび訓練室での治療開始に当たって主治医(リハ医)が同伴し,リスクが予想される患者は自動血圧計と心電図のモニターを行ない,自覚症状や血圧・心電図に異常を生じた場合は,直ちに対応できる体制としている.
急性期のリハの是非は,脳の自動調節能の障害からくる症状変化に焦点が当てられている7,8)が,モニター監視下で行なう理学療法はリスクも少ない.
今回,大学病院での理学療法の経験から,総合病院の立場で脳卒中の早期理学療法の進め方について述べたい.
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