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特集 理学療法業務の見直し
患者・家族と理学療法士との関わりをめぐって
著者: 武田秀和1 岸田智晴1 小松みゆき1 黒澤保壽2 前田秀博3 山崎誠1
所属機関: 1聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院リハビリテーション部 2聖マリアンナ医科大学病院リハビリテーション部 3近森リハビリテーション病院理学療法室
ページ範囲:P.160 - P.164
文献購入ページに移動患者と治療者(以下,理学療法士)との関わりは理学療法の治療効果をあげ,治療目標に到達する上で最もたいせつな要素である.日々の臨床場面で結ばれる患者と理学療法士との関わりは,患者や患者を取り巻く家族,あるいは担当した理学療法士のパーソナリティーなどの要因により左右される.例えば治療に対して患者が意欲的であったり,家族が協力的である場合は良好な関わりが展開する.しかし患者や家族のゴールと理学療法士のゴールとが合わなかったり,あるいは理学療法士が患者側に対して抱く感情の中で,患者や家族に対して身構えたり,家族の批判に感情的になったりする「逆転移」1)が生じた場合は,その関わりが困難になることがある.またこのような患者および家族と理学療法士との関わりは,患者の訓練,指導および評価などの理学療法業務を進めていく上でも重要な問題である2).
そこで,本報は理学療法業務を患者および家族と理学療法士との関わりという観点から見直してみたい.以下に脳損傷による重症な意識障害が遷延し,さらに四肢麻痺を呈している患者を対象に,その家族と理学療法士との関わりを通して,そこに生じた問題点とその解決策を述べてみたい.
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