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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル28巻3号

1994年03月発行

文献概要

特集 理学療法業務の見直し

外来患者に対する理学療法業務の見直し

著者: 川島康子1 高取利子1 吉原裕美子1 永原久栄2

所属機関: 1立川相互病院リハビリテーション室 2浴風会病院理学療法科

ページ範囲:P.165 - P.170

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 Ⅰ.初めに

 入院リハビリテーションから在宅生活に移行し,それが定着するまでは,患者・家族にとってリハビリテーション医療監視下での援助が必要である.退院後,本人・家族は病気や障害に対する不安や生活技術面において,とまどいの真っ只中にいる.入院中に想定した退院後の生活は,まだイメージのレベルであり,実際に生活していく中でさまざまな問題が生じてくるかもしれない.障害をもった新しい生活が始まり戸惑うことが多いだろう.一日一日をどのように過ごしているのか,日常生活動作(以下,ADLと略.)をどのような方法で行なっているのか,家屋改造など,確認していく必要がある.退院後,在宅生活が軌道にのれば良いが,そうでない例も数多くある.

 一例を紹介する.脳梗塞左片麻痺,60歳,男性,高次脳機能障害あり.妻と息子の三人家族,日中は独居.屋内杖歩行自立で退院したが,徐々に機能が低下し,臥床がちの生活となってしまった.退院6か月後に,間歇入院で再度訓練・指導を行ない,その後外来通院でのフォローアップとした.

 この症例では,患者・家族に退院後の生活設定の指導が不十分で,また住居が遠隔地でもあり,外来頻度が減少し,外来で適切なフォローアップができず,その間に臥床がちの生活となった反省すべき一例である.退院後,退院時指導の確認・修正・再指導,外来フォローアップのたいせつさを痛感した.

 入院理学療法は,患者が生活に戻る前段階にすぎず,ほんとうの生活は退院後から始まるものであり,在宅生活をフォローアップしていく外来理学療法の担う役割は重要で,退院後の生活を確認し,実生活へ目を向けた目標をもち,外来理学療法を行なう必要がある.

 その意味において,当院における外来患者に対する理学療法業務の見直しを検討してみる.

 当院は東京都多摩西部の中心地に位置し,救急医療から往診までの地域医療を行なっている中規模総合病院である.リハビリテーション部門は理学療法・作業療法・言語療法があり,入院・外来(患者会を含む.)・訪問の機能を有する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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