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文献概要
特集 嚥下障害
脳卒中後咀嚼嚥下障害への運動療法
著者: 古澤正道1
所属機関: 1ボバース記念病院リハビリテーション部
ページ範囲:P.240 - P.245
文献購入ページに移動 Ⅰ.初めに
筆者らは脳卒中後遺症などによる口腔器官や顔面麻痺(orofacial motor dysfunction)への運動療法の結果を,理学療法士と言語療法士との協力で報告してきた1~12).さらにボバースアプローチ13)を基礎にした口腔器官への対応が諸家により報告されている14~28).これらの報告の共通内容には二つの強調点がある.
一つは患者の口腔周辺の器官は,上部胸郭や骨盤からの異常な姿勢緊張と姿勢運動パターンの影響を受けやすいゆえ,全身からの影響を取り除いた上で口腔器官の問題に対処することである.
二つ目は咀嚼・嚥下・発声・構音はおのおのが深く機能的関連をもっていることである.例えば嚥下は咀嚼の過程と関連が深く29),両者が緊密に協調した関係にあることは治療上からも重要である.したがって,嚥下過程の1か所に主たる障害があってもその部分への対応のみに留まらず,前後さらには一連の咀嚼嚥下の過程を円滑にする中で改善を図る必要がある.以上を実症例を通して解説し,治療の実際について述べる.
筆者らは脳卒中後遺症などによる口腔器官や顔面麻痺(orofacial motor dysfunction)への運動療法の結果を,理学療法士と言語療法士との協力で報告してきた1~12).さらにボバースアプローチ13)を基礎にした口腔器官への対応が諸家により報告されている14~28).これらの報告の共通内容には二つの強調点がある.
一つは患者の口腔周辺の器官は,上部胸郭や骨盤からの異常な姿勢緊張と姿勢運動パターンの影響を受けやすいゆえ,全身からの影響を取り除いた上で口腔器官の問題に対処することである.
二つ目は咀嚼・嚥下・発声・構音はおのおのが深く機能的関連をもっていることである.例えば嚥下は咀嚼の過程と関連が深く29),両者が緊密に協調した関係にあることは治療上からも重要である.したがって,嚥下過程の1か所に主たる障害があってもその部分への対応のみに留まらず,前後さらには一連の咀嚼嚥下の過程を円滑にする中で改善を図る必要がある.以上を実症例を通して解説し,治療の実際について述べる.
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