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特集 治療を目的とした装具と運動療法
治療を目的とした装具の現状と課題
著者: 高岡徹1 佐鹿博信2
所属機関: 1神奈川県立足柄上病院リハビリテーション科 2横浜市立大学医学部付属浦舟病院リハビリテーション科
ページ範囲:P.294 - P.299
文献購入ページに移動リハビリテーション医療において装具療法は,理学療法や作業療法などと並んで必要かつ有力な治療の一つである.したがって表1に示したような装具の目的1~3)や適応,実際の訓練過程での調整法などは,リハビリテーション医療に携わる者にとって必須の知識である.しかし,治療を目的とした装具の利用は,担当する治療者によってさまざまで,意見が異なる場合も少なくない4).
装具は支給区分により治療用装具と更生用装具とに分けられる.治療用装具は各種医療保険(短期給付)による支給で,医学的治療の完了する前に使用するもの,または純粋に治療手段の一つとして使用するもので,疾患の発生に引き続く病院での早期治療において使用するものと考えられる.一方,更生用装具は身体障害者福祉法を中心とした社会福祉(長期給付)による支給で,概念上は医学的治療が終わり,変形または機能障害が固定した後に(つまり障害者であるという認定条件が必要)ADLなどの向上のために,日常的に使用するものである.装具作製に当たっては,これら法制度の基本的理解が不可欠である.(現行の法制度の問題点も指摘されているが,今回はふれない5).)しかし実際にはこの二つを厳密に分けることは困難であり,むしろ治療目的の無い装具はほとんど無い.今回は治療用装具の種類と目的を中心にして,リハビリテーションにおける「治療用」装具を考えていきたい.
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