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特集 治療を目的とした装具と運動療法
変形性関節症に対する「治療用」装具と運動療法―変形性膝関節症を中心に
著者: 入谷誠1 山嵜勉1 内田俊彦2 黒木良克2 森雄二郎3
所属機関: 1昭和大学藤が丘リハビリテーション病院リハビリテーション部 2昭和大学藤が丘リハビリテーション病院整形外科 3昭和大学藤が丘リハビリテーション病院藤が丘病院整形外科
ページ範囲:P.306 - P.311
文献購入ページに移動変形性関節症は非炎症性で,進行性に可動関節,特に荷重関節を侵す疾患で,病理学的に関節軟骨の変性,摩耗による荒廃と軟骨および関節縁の骨新生,つまり摩耗相と増殖相とが混在しているところに特徴がある.本疾患は,原疾患の無い一次性関節症と軟骨変性を起こす何らかの原疾患があって発症する二次性関節症とに分類される.一次性関節症は関節軟骨の老化に内在している退行変性を主因として発症する関節の変化であり,長年にわたる機械的損傷の蓄積と相まって,関節の破壊変形が生じて臨床症状を呈するようになるもので,荷重位での力学的またはバイオメカニカルな影響を受けていることは察することができる.
一次性関節症を認められる関節は50~60歳代では膝(80%),肘(70%),第一中足趾節関節(60%),股(50%),肩(10%),胸鎖関節(10%)の順で,そのほか母指の手根中手関節,手指の遠位指節関節なども発生しやすい.そこで本稿では変形性関節症の中でも最も頻度の高い変形性膝関節症に着目し,その変形および疼痛の発生・増悪機序について述べ,またその機序を基に1987年以来変形性膝関節症の保存療法として臨床応用しているわれわれの足底挿板を紹介し,装具と運動療法の考え方,その作用機序について述べることとする.
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