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理学療法草創期の証言
理学療法草創期の想い出―主として国家試験について
著者: 杉本一夫1
所属機関: 1敬愛病院理学療法科
ページ範囲:P.341 - P.341
文献購入ページに移動 昭和30年代後半から40年代前半は日本の理学療法にとっては“明治維新”であったとも言える.我が国の理学療法は明治20年代から病院勤務のマッサージ師により支えられ,整形外科後療法として発展してきたが,1965年「理学療法士及び作業療法士法」が施行されたので,全国の理学療法従事者の混乱が起こった.理学療法士になるためには高校卒業後,3年間の養成課程を経て国家試験に合格にしなければならないが,経過措置として現に理学療法業務に従事している人は法施行後5年間は国家試験を受験できる道が講じられた.当時正規の養成機関は清瀬のリハビリテーション学院しかなく,公の受験資格取得講習会は整肢療護園と国立身体障害者リハビリテーションセンターで行なわれるだけだったが,病院理学療法従事者の全国組織である全国病院理学療法協会(以下,病理協と略.)の猛烈な政治運動で受験対策は活発になり,各都道府県単位に受益者負担による厚生大臣指定講習会が相次いで行なわれた.当時の理学療法従事者の知識レベルは格差が大きく,労災病院,厚生年金病院,整肢療護園,東京大学病院,大阪大学病院,鹿教湯病院などに勤務する人々は,良き指導者に恵まれ,臨床経験も深くレベルが高いので,国家試験の合格率も一般病院勤務者より高かった.
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