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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル28巻6号

1994年06月発行

文献概要

報告

機能訓練事業における心理的アプローチの試み

著者: 佐々木和人1 渡辺彰1 水井尚子1 中村恵1 米田光宏1 横尾一晃1 鹿島由樹1 鈴木英二1

所属機関: 1ナトメック七里病院リハビリテーション科

ページ範囲:P.419 - P.422

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 Ⅰ.初めに

 理学療法士は,1983年に老人保健法が施行されて以来,機能訓練事業において,障害者に関わることが多くなった1).しかし,理学療法士の教育過程に,地域リハビリテーションに関する教育が少ないこともあり,法施行以来の年月は「試行錯誤の数年」と言える2).われわれも,埼玉県の二十余の機能訓練事業の調査を行なったが,身体的なアプローチが中心の事業が多かった.身体的なアプローチは,病院の理学療法的なものとも考えられ,保健婦などの他職種から「理学療法士は,機能訓練事業で病院理学療法的なことを行ない,困る」という非難の声を耳にすることもある.一方,機能訓練事業に通所するケース(以下,通所ケースと略.)は,事業の名称から受ける印象から,身体的なアプローチを期待して通所することが多く,理学療法士が,両者の板挟みに苦しむことも多い.

 われわれは,第25回日本理学療法士学会において,通所ケースが,七里病院に通院する患者に比べ,「この手を動くようにして欲しい」とか「もっと歩けるようになりたい」などの身体的欲求に固執しているケースが多いことを発表し,機能訓練事業では,「通ってきている人たちと一緒にいるのが楽しい」「いろいろな経験ができて役にたつ」などの単なる身体的な欲求よりも,Maslowの言う高い欲求に転換させるプログラムの必要性を提唱した3)

 そこで今回このような転換をさせるプログラムとして,身体的なアプローチを避け,心理的アプローチを中心に2年間行ない,良い結果を得たので報告する.

 心理的アプローチとは,最近,神経心理学的アプローチ,認知リハビリテーション4~9)として,多く発表がされている.

 今回われわれは,社会適応に重点を置いたグループでの認知訓練を中心に行なった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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