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印象に残った症例
患側下肢屈曲優位を呈した脳卒中患者の理学療法
著者: 小枝英輝1 松井幾夫1
所属機関: 1神戸掖済会病院理学療法室
ページ範囲:P.487 - P.490
文献購入ページに移動 Ⅰ.初めに
脳卒中片麻痺の理学療法において,日常生活動作能力を拡大し円滑な社会復帰を可能とするには,移動手段である歩行機能を早期に獲得することが重要である.歩行に影響を及ぼす要因は,運動麻痺,感覚障害,バランス障害,関節拘縮,疼痛,高次脳機能障害などが大きな因子である.脳卒中患者の運動麻痺は,遷延性弛緩性麻痺を示すほんの一部の者を除き,多かれ少なかれ筋の痙性を伴うのが普通である.そして,この痙性が機能予後に影響を与える大きな因子である.
多くは下肢伸筋痙性が優位に出現することで伸展パターンを呈し,立脚期の支持性を得ることで歩行へと結び付いていく.しかし,稀に屈曲が優位に出現し,立位時に患側股関節,膝関節が屈曲し足部が床につかなかったり,また,接地したとしても踏ん張ることができずバランスが悪く歩行に結び付かない場合がある.過去にも数例このような下肢屈曲優位を呈する症例を経験してきたので,それらの経験を基に今回新たな症例について考えてみたい.
脳卒中片麻痺の理学療法において,日常生活動作能力を拡大し円滑な社会復帰を可能とするには,移動手段である歩行機能を早期に獲得することが重要である.歩行に影響を及ぼす要因は,運動麻痺,感覚障害,バランス障害,関節拘縮,疼痛,高次脳機能障害などが大きな因子である.脳卒中患者の運動麻痺は,遷延性弛緩性麻痺を示すほんの一部の者を除き,多かれ少なかれ筋の痙性を伴うのが普通である.そして,この痙性が機能予後に影響を与える大きな因子である.
多くは下肢伸筋痙性が優位に出現することで伸展パターンを呈し,立脚期の支持性を得ることで歩行へと結び付いていく.しかし,稀に屈曲が優位に出現し,立位時に患側股関節,膝関節が屈曲し足部が床につかなかったり,また,接地したとしても踏ん張ることができずバランスが悪く歩行に結び付かない場合がある.過去にも数例このような下肢屈曲優位を呈する症例を経験してきたので,それらの経験を基に今回新たな症例について考えてみたい.
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