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雑誌目次

雑誌文献

理学療法ジャーナル28巻8号

1994年08月発行

雑誌目次

特集 高齢の整形外科的疾患患者に対する理学療法

高齢脊椎・脊髄疾患患者の骨塩量と筋力維持―皮膚表面電極を使用した機能的電気刺激の効果

著者: 増田研一 ,   玉置哲也 ,   松本朋子

ページ範囲:P.510 - P.514

 Ⅰ.初めに

 われわれが日常の診療の場で筋力増強訓練を検討・処方する対象は,手術後や各種外傷・障害のために相当の筋力低下を来している場合が多く,具体的な処方に難渋することもある.また諸外国に比し早いペースで高齢者社会となりつつある我が国では,老人世代の手術件数も増加していると判断される.この傾向は整形外科領域においても例外ではない.また,外科的処置により患部の病因を除去しても他の要因によってADLの回復が遅れる症例も経験する.このような問題,例えば臨床上必要な術後の安静臥床期間に発生が予想される運動量不足による筋力低下や骨塩量減少に対して訓練を処方したとしても,患者自身の意欲が乏しく期待したほどの効果が認められない場合がある.

 このような対象を訓練する場合には以下のような点に留意すべきであると考えられる.まず症状を認める部位にできるだけ負担をかけないために初期には等尺性運動が望ましいこと,また意欲の乏しい対象についても効果が期待できるように他動的な訓練が適していること,さらに可能な限り長時間訓練を行なえるように患者や家族のみで施行できる簡単・安全な方法が良いことなどである.

 これらの点を考慮して,皮膚表面電極を利用した機能的電気刺激(Functional electrical stimulation;以下,FESと略.)を筋力低下・骨塩量減少予防目的の一訓練方法として選択し,60歳以上の高齢脊椎・脊髄疾患患者を対象にその効果を検討した.

高齢脊髄症患者の回復兆候の早期発見と早期運動療法

著者: 石田健司 ,   山本博司 ,   谷俊一 ,   川村博文 ,   鶴見隆正 ,   辻下守弘

ページ範囲:P.515 - P.520

 Ⅰ.初めに

 我が国の人口の高齢化は,世界にその比をみないほどのスピードで進行しており,老年人口は北欧の水準をはるかに越えた高水準で安定すると予測されている.それに伴い退行性変化を基盤とする疾患も増加しており,脊椎においても例外ではない.ことに高齢者に高頻度にみられる頸椎症性頸髄症は,四肢の巧緻運動障害を来しADLの支障となる.

 横断性脊髄症を呈し除圧手術を行なった症例について,術後早期から頻回かつ詳細に四肢巧緻運動障害の術前・術後の経過を追跡したところ,高齢者頸椎症性頸髄症の術後回復パターンには,早期回復型・漸次回復型・遅発回復型の三つのパターンが認められ,それぞれのパターンに見合ったリハビリテーションプログラムを設定する必要があると思われた.そこでまず,横断性脊髄症患者の治療後回復過程につき概説し,次に回復兆候を早期に把握して早期から適切なリハビリテーションプログラムを設定するための運動機能系と感覚機能系との早期診断法を紹介する.最後にわれわれの行なっている高齢者脊髄症患者の早期理学療法について述べたい.

高齢者の大腿骨頸部骨折に対する理学療法―悪条件下での対応と考え方

著者: 猪田邦雄 ,   河村守雄 ,   木山喬博 ,   鈴木善朗 ,   金井章 ,   足立明美 ,   高須裕子 ,   星野茂 ,   千葉晃泰

ページ範囲:P.521 - P.531

 Ⅰ.初めに

 高齢化社会においては,生き甲斐の問題とともに,自分のことが自分でできるということが長生きの前提であると言っても過言ではないと思われる.この点からみて,高齢者にとっては歩行能力の維持は重要であり,動きの範囲や能力が低下することによる心循環系への影響や精神活動への影響を考えるといっそうであろう.

 高齢化社会のなかで増加しつつある大腿骨頸部骨折に対しても手術が盛んに行なわれている.その手術成績や方法については多くの関心が払われているが,退院後の歩行能力や日常動作能力,住宅環境などについては十分とは言えない.

 高齢者では特有の合併症の影響やリスクを考えた上で,退院後の日常生活やQOLを含めたリハビリテーションが必要と考えられる.歩行能力と直結する高齢者の股関節周辺疾患の一つである大腿骨頸部骨折の理学療法について,医師と理学療法士とが一体となった立場から述べてみたい.

在宅慢性関節リウマチ患者に対する支援活動

著者: 松葉貴司 ,   小倉秀子 ,   伊藤利之

ページ範囲:P.532 - P.537

 Ⅰ.初めに

 慢性関節リウマチ(以下,RAと略.)は,多関節の炎症を主症状とする全身性疾患で,多くは憎悪と寛解とを繰り返しながら徐々に進行する疾患である.RA患者のADLは,関節痛の状態によって支配されると言っても過言ではなく,疾患自体の活性や服薬の状態,季節や天候などにより,日内あるいは日差変動が大きいことが特徴である.

 RA患者の家庭を訪問すると,家具の配置やその利用の仕方には,患者一人ひとりのさまざまな工夫の跡がみられ,われわれリハビリテーションスタッフは感心させられることが多い.これは,悪性関節リウマチなどの少数例を除いて基本的に知的障害を伴わず,長期間にわたって徐々に機能障害が進行するため,患者自身が疾患に対して順応していく過程を顕しているものである.それ故,在宅におけるリハビリテーションサービスは,個人個人の身体機能は本より,家屋環境や患者および介護者のニーズをふまえた上で,ADLの改善やQOLの向上を目標とすることが重要である.

慢性関節リウマチ患者の車いす

著者: 島田勝英 ,   伊藤良介 ,   根本明宜

ページ範囲:P.538 - P.542

 Ⅰ.初めに

 慢性関節リウマチ患者の障害は多様で,変化しやすい.関節リウマチの薬物治療や観血的治療は進歩しているが,種々の原因で移動能力が低下し歩行が難しくなることがあり,特に高齢者になるほど車いすに頼る割合が多くなると思われる.

 移動能力の向上のためには車いすは有効な手段であるが,脊髄損傷など他の疾患に比較すると,リウマチ患者の車いすについて検討された研究は少ない.これはリウマチ患者の障害はつねに変化していき,また個人による差が大きいため画一的に検討するのが難しいことが理由の一つと思われる.しかし,より適切な車いすを求める努力を行ない,経験によって製作された車いすも客観的に見直すことはつねに必要である.一方理想的な車いすを考えながらも,実際の患者に対しては現状で最も適切と思われる車いすを製作することも重要である.

 本稿では,車いすをより客観的に捉える試みとして車いす駆動の分析を紹介し,次に車いすを処方するに当たってのわれわれの現在の考え方を述べ,実際の処方例を示した.

とびら

少し怒ってみませんか

著者: 一ノ宮孝司

ページ範囲:P.509 - P.509

 1970年当初,日本と西ドイツとの交通事故における死亡者数はほぼ同数であった.その後西ドイツでは救急救命システムの高度化と車の安全性との追求が図られ,他方日本では道交法の改正と日々の交通取締の強化に血道をあげた.その結果,死亡者数が激減した西ドイツに比して,日本では年間死亡者1万人以上の交通戦争は今も続いている.この差は何だろうか?

 人命尊重での問題解決への抜本的対策が基本的になされてこなかった結果であり,あらゆる問題でこの現象は噴出している.

入門講座 器具を用いた運動療法・2

器具を用いた関節可動域訓練

著者: 畑耕治

ページ範囲:P.543 - P.547

 Ⅰ.初めに

 関節可動域訓練(ROM exercise,range of motion exercise)の目的は関節可動域の維持増大である.しかし,その目的は最終目標ではなく,獲得された関節可動域が日常動作において機能的に用いられなければならない.つまりdisabilityの改善のためにimpairmentの改善を目標とするのである.このことは日常診療において誤解されていることが少なくない.

 関節可動域訓練は理学療法士による徒手的訓練が多く用いられている.本稿では徒手的訓練の補助,獲得された可動域の維持または自己管理として患者自ら実施できる,身近な器具を用いた関節可動域訓練について述べる.

1ページ講座 生理学的診断・8

超音波検査:心臓

著者: 吉村浩

ページ範囲:P.548 - P.548

 非侵襲的検査である心エコーは,心臓の形態,機能評価に欠くことのできない検査であり,プローベ(探触子)より,肋間を通り心臓に達した超音波の反響を,画像,波形として表し,解析する.主に三通りのモードが用いられる.

講座 行動科学・2

行動科学の構築過程

著者: 坂田省吾 ,   筒井和義

ページ範囲:P.549 - P.554

 Ⅰ.初めに

 先月号の「行動科学とは」では,行動科学の歴史的な側面と現在の諸科学領域との接点の観点からその概要が紹介された.アメリカでは早くから行動の科学として,治療面への応用も試みられているようであるが,日本でも,心理学者,精神医学者,生理学者らが中心になって1993年7月31日,日本行動科学学会(Japanese Association of Behavioral Science;JABS)が設立された.この学会の目的は「本学会は行動の基礎研究及び応用的研究に関心を有する者が相互の連携共同により,行動の基礎理論とその応用の進歩をはかることを目的とする.」と会則第3条に謳われている.主として実験動物を用いた行動の基礎研究と臨床的な応用研究をしている者が集まり,年2回大会を開催し情報交換を行なっている.

 行動科学は人間行動の理解を目指す科学であるが,先月号の紹介にもあるようにその研究の視点の違いから巨視的分析と微視的分析とがある.ここでは脳と行動との関係から個体の行動分析に主眼をおいた,ミクロ行動科学の構築要素について紹介する.

プログレス

未熟児治療の進歩(あるいは周産期医療の進歩か?)

著者: 久保隆彦

ページ範囲:P.555 - P.555

 まだ14~15年しか臨床に携わっていない小生がこんな大それたタイトルで散文を書くなど,この領域の諸先輩に笑われてしまう.今年のNICU春季増刊号『新生児呼吸管理のすべて』に新生児第二世代の諸先生が昔のこぼれ話を書いている.それによると,1975~1980年が我が国の未熟児医療の大変換期であったようである.すなわち,成人あるいは小児用の人工呼吸器からGregoryの開発したCPAP,あるいは新生児専用人工呼吸器の使用,画期的とも言える藤原哲郎先生の開発した人工サーファクタントの臨床応用など,それまで最大の死因であった呼吸障害(IRDS)に対して新生児医が初めて強力な武器を持ち,その疾患を克服し,ハイリスク未熟児(極小未熟児,超未熟児)を救命できるようになった時期と言える.

 1979年に岡山大学を卒業し,その足で聖隷浜松病院未熟児センターに無給研修医としてお世話になった.当時の聖隷浜松病院未熟児センターは米国のNICUを手本とした超近代的設備を有する,我が国でも最先端の未熟児センターであった.センターテーブル方式(NICUの中心にハイテーブルを設置し,看護婦の動線を短縮する.),心拍・血圧・呼吸・TcPO2・TcPCO2などのハイテクモニターと光線治療器が装備された20数台の最新保育器,10数台の新生児用人工呼吸器(ボーンズ社BP-200),特殊装置(X線撮影装置,血液ガス分析装置,2台の人工呼吸器と保育器)が整備され,まさに動くNICUと言える新生児用救急車など,それまで苦労していた新生児医にとっては垂涎の未熟児センターであった.

理学療法草創期の証言

理学療法教育の夜明け

著者: 松村秩

ページ範囲:P.556 - P.556

 1963年,我が国の理学療法教育が始まる,その前夜にリハビリテーション(以下,リハと略.)の分野でいろいろな動きが起こっている.国際的には世界保健機構(WHO),世界理学療法連盟(WCPT)から派遣された専門家による勧告や,講習会に来日した米国の理学療法士,作業療法士たちによる提言などである.

 我が国のリハを視察した彼らの提言の中に,施設におけるリハの設備は整っているが,理学療法,作業療法の専門家がいないからまず教師を養成するためにインドの大学に留学生を送ったらどうかという提案があった.これは,日本はインドより先進国だと自負していた厚生省を慌てさせたようである.

我が国の肢体不自由児療育体制は高木理念と水野理念の結実によって発展した

著者: 紀伊克昌

ページ範囲:P.557 - P.557

 理学療法士・作業療法士制度の誕生の背景は杉山尚教授の論文1)によると,高木憲次教授を代表として昭和初期から始められた療育の調査研究グループがあった.肢体不自由児への療育の必要性を強調され,自ら,“夢の教養所”で実践された高木博士の理念は,欧米で提唱されていたリハビリテーション概念とまったく同義語の人道思想に満ち溢れたものである.高木博士の仕事を引き継がれていた小池先生は1963年ころ,理学療法士・作業療法士身分制度調査打合会の席上で,我が国の肢体不自由児療育体制を確立するために先駆者が努力してきた長い道のりを説明され,それの延長線として理学療法士・作業療法士という専門職の必要性を強調された.また大阪でドイツ人Herter整形外科教授の流れをくんで,ヨーロッパリハビリテーションを包括した近代整形外科を発展させておられた大阪大学水野教授も身分制度調査委員として,理学療法士・作業療法士の誕生を強く主張された.

 その水野教授の指示で小野先生(後に教授そして大阪大学医学部長になられた)とともに,梶浦,井上,廣島ら4人の先生方は近畿圏の肢体不自由療育界で指導的役割を果たしておられた.このころ,肢体不自由児療育界に一つの変化が起こっていた.ポリオ,結核などの感染性疾患や先天性股関節脱臼のような骨・関節疾患による肢体不自由児の入園児が激減し,その代わりどこの施設でも脳性麻痺児の入園が半数以上を占めるようになっていた.

あんてな

第二ラウンドに入った病院の週休二日制

著者: 酒井武

ページ範囲:P.558 - P.558

 週休二日制の進展度

 一般産業より,やや遅れ気味でスタートした医療界の週休二日制も最近では,急速に進んできています.

 その実態は,表1の,日本病院会の調査結果が明瞭に示していると思います.

 このアンケート調査票の内容を見てみますと,その実施方法は,多くの病院で逐次段階的に進めていることが特徴になっています.つまり,いきなり完全週休二日制を実施するのではなく,4週5休から4週6休,さらに完全に向けてステップを進めていく方法がとられているということです.したがって,上記の表からも,1989年から3年の経過の中で,完全週休二日制実施に向けて,段階的にシフトしていることが窺われます.しかも,月2回または4週6休制の実施が50%を超えている現状から考えますと,どうすれば週休二日制を実現できるかという議論の段階は終わって,現在実施している段階での問題点を洗い出し,これをクリアーして,完全週休二日制に向けてどう実現していくかという第二の段階に入ったと思われます.

雑誌レビュー

“Physical Therapy”(1993年版)まとめ

著者: 谷浩明

ページ範囲:P.559 - P.563

 Ⅰ.初めに

 アメリカ理学療法士協会(APTA)の機関誌である“Physical Therapy”誌は,1993年で第73巻となる.第73巻の構成は全12冊で,表1に示す65編の論文と,6月にオハイオで開かれた学会の抄録(6号),Soderbergの講演記録(11号)が掲載されている.また,12号では「骨格筋」をテーマに,8編の論文(表中のSpecial Series)から成る特集が組まれている.

 本稿では,Research Reportを中心に,運動療法,運動学,検査・測定,義肢・装具,管理・教育・調査,その他に分類して,主だった文献の要旨を紹介し,考察を加えてみたい.

 なお,文中の[( )]内の数字は,( )内が論文の掲載号数,続く数字が通巻のページを示す.

資料

第29回理学療法士・作業療法士国家試験問題(1994年度) 模範解答と解説・Ⅱ―理学療法(2)

著者: 坂江清弘 ,   森本典夫 ,   吉田義弘 ,   前田哲男 ,   吉元洋一 ,   大重匡 ,   佐々木順一 ,   高江玲子 ,   山口尚美

ページ範囲:P.565 - P.569

学会印象記 第29回日本理学療法士学会

障害予防を含んだ地域リハビリテーションに学ぶ

著者: 上村佐知子

ページ範囲:P.570 - P.571

 1994年5月27日,28日の2日間にわたり,第29回日本理学療法士学会が「障害予防と理学療法」をテーマに,本州北端の地青森で開催された.本学会は医療としてだけの理学療法にこだわらず,「障害予防」という概念を地域社会にまで発展させ,保健や福祉の分野からもたくさんの報告がなされた.本学会長の伊藤日出男先生をはじめとする青森学会では,在宅リハビリテーションやリハビリ学級を通して地域リハビリテーションが早くから展開されており,かくいう私も弘前大学医療技術短期大学部時代の授業で,地域の障害者とじかに接する機会をもち,そのことが後の理学療法業務に非常に役だってきたと思っている.その青森で,今回の学会が,障害者の方々や保健婦さんなどの一般参加も加えて盛大に開催されたことは,たいへんに意義深く,そして青森学会ならではの良さが肌で感じられた.

 特別講演とシンポジウムⅠは,到着時間の遅れで残念ながら拝聴できなかったが,リハビリテーション医学における障害予防は,特に高齢者にとって不可欠であると,日ごろから私自身考えていたことであり,今後の予防・治療医学におけるリハビリテーション医学のコンセンサスの高まりを今まで以上に期待している.

第五の難関突破まで―一生の仕事とする糧となった一年間

著者: 武岡健次

ページ範囲:P.572 - P.573

 1994年5月27・28日の2日間にわたり,第29回日本理学療法士学会が,りんごの産地青森で開催されました.「障害予防と理学療法」をメインテーマに全国の理学療法士がそれぞれの経験と新しい知見への期待を胸に集いました.メイン会場を青森文化会館,サブ会場を青森ホテルに置き,合計11会場で行なわれました.演題は口述,ポスター,ビデオを合わせて481演題と数多く出されており,その内容は理学療法の最先端のものばかりでした.私の未熟な演題もこの中の一つに選ばれたことを誇りに思い,とても大きな自信に繋がりました.

 青森は本州最北の土地であり,りんごとねぶた祭りが有名なところなので一度ゆっくり津軽路を旅してみたいと思っていました.しかし今回の青森は旅行ではなく,初めての学会発表という重い荷物を背負っているのですから観光どころではありません.期待と不安と緊張感で胸が締めつけられる思いでした.

初めての発表体験;雨のち晴

著者: 長谷川輝美

ページ範囲:P.574 - P.575

 [初めに]

 りんごの名産地として知られる青森で,1994年5月27,28日の2日間にわたり,第29回日本理学療法士学会が「障害予防と理学療法」というテーマで開催されました.

 今学会が開催された場所は,青森駅からバスで約20分程度,海の近くでもあるホテル青森と青森市文化会館でした.口演とビデオ会場として9か所,ポスター会場として2か所の計11会場で行なわれました.

 プログラムとして一般演題数はこれまでの理学療法士学会の中で最も多い481題,弘前大学医学部福田道隆教授による特別講演と二つのシンポジウムとによって,今回のテーマについてさまざまな角度から討議がなされました.

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文献抄録

ページ範囲:P.576 - P.577

編集後記

著者: 安藤徳彦

ページ範囲:P.580 - P.580

 8月の暑い太陽とともにこの号を送る.今月は高齢の整形外科的疾患に対する理学療法と題して特集を組んだ.あらゆる疾患について二次的合併症を予防するためには可能な限り早期から運動療法を開始するのが大原則である.しかしそれが困難な場合に,FESを同時に施行して不足を補えば,筋・骨の萎縮を最小限に抑えることを期待できる.増田氏の研究報告は筋萎縮に対してFESが有効だったことを示している.一方,石田氏は高齢脊髄症患者の回復には早期・漸次・遅発回復型の三型があって電気角度計とSEPでの予測の可能性を示された.また脊椎移植骨の圧潰を防ぎながら,精神機能を保ちつつ訓練プログラムを進める方法を具体的に述べ,さらに頸椎装具・下肢装具についてもふれていただいた.術直後から6週前後までの具体的プログラムの提示は非常に重要である.また猪田氏は高齢頸部骨折患者のリハ訓練進行の具体的対応をプロブレムオリエンテッドに述べてくださった.

基本情報

理学療法ジャーナル

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1359

印刷版ISSN 0915-0552

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