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特集 高齢の整形外科的疾患患者に対する理学療法
高齢脊髄症患者の回復兆候の早期発見と早期運動療法
著者: 石田健司1 山本博司1 谷俊一1 川村博文2 鶴見隆正2 辻下守弘2
所属機関: 1高知医科大学附属病院整形外科 2高知医科大学附属病院理学療法部
ページ範囲:P.515 - P.520
文献購入ページに移動我が国の人口の高齢化は,世界にその比をみないほどのスピードで進行しており,老年人口は北欧の水準をはるかに越えた高水準で安定すると予測されている.それに伴い退行性変化を基盤とする疾患も増加しており,脊椎においても例外ではない.ことに高齢者に高頻度にみられる頸椎症性頸髄症は,四肢の巧緻運動障害を来しADLの支障となる.
横断性脊髄症を呈し除圧手術を行なった症例について,術後早期から頻回かつ詳細に四肢巧緻運動障害の術前・術後の経過を追跡したところ,高齢者頸椎症性頸髄症の術後回復パターンには,早期回復型・漸次回復型・遅発回復型の三つのパターンが認められ,それぞれのパターンに見合ったリハビリテーションプログラムを設定する必要があると思われた.そこでまず,横断性脊髄症患者の治療後回復過程につき概説し,次に回復兆候を早期に把握して早期から適切なリハビリテーションプログラムを設定するための運動機能系と感覚機能系との早期診断法を紹介する.最後にわれわれの行なっている高齢者脊髄症患者の早期理学療法について述べたい.
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