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雑誌目次

雑誌文献

理学療法ジャーナル28巻9号

1994年09月発行

雑誌目次

特集 生活関連動作

生活関連動作とその周辺の概念に関するー考察

著者: 安藤徳彦

ページ範囲:P.584 - P.588

 Ⅰ.序文

 従来の臨床医学では患者の救命が活動の主体であり,したがって生命の存在を脅かす原因を究明する「診断」という行為が最重要視されてきた.「診断」には臨床症状や検査所見を総括して,健康を損なう原因を探求する行為を含むが,損なわれた健康によってもたらされる生活の量的変化を表現する目的や思想を含んでいない.しかし社会的存在としての「人」の生活の向上を目標とするリハビリテーション医学では,障害の量的・質的把握を行なうことが必要不可欠であり,「評価」とはそのような行為を指す.

 機能障害の原因疾患を究明するのではなく,逆にそれによってもたらされる日常生活の障害の状況を把握し,改善を試みる行為は医学的リハビリテーション特有のものであり,「日常生活動作」という概念がリハビリテーション医学に特徴的なものだとされる一つの理由はここにある.本稿ではADL(日常生活動作),APDL(生活関連動作),拡大ADLおよびQOL(quality of life)などADL周辺の生活能力評価の方法の幾つかを紹介し,それぞれの目的を検討することによって,この種の概念の再整理を試みる.今田1)はこれに関する展望を試みているが,その指摘はきわめて広範かつ的確で鋭い.

肢体不自由者への生活技術援助―生活管理を中心に

著者: 西ケ谷節美 ,   髙田京子

ページ範囲:P.589 - P.594

 Ⅰ.初めに

 東京都心身障害者福祉センターでは医療管理を必要としない肢体不自由者に対して,障害をもちながら地域で生活をしていく上で必要な生活技術についての援助を行なっている.援助の内容は生活管理的内容,すなわち健康管理,金銭管理,安全管理,生活習慣,交通機関の利用などを含む屋外応用移動など,「障害とともに上手に暮らす技術」の指導援助に力を入れている.ここ数年は単身で生活する人たちへの援助が増すとともに,単身でも自力で生活するのが難しい人のため,地域資源を含め,生活をしていく上での環境を整備する援助が増してきている.

 ここでは,当センターにおける地域在宅生活援助プログラムについて紹介し,生活管理的側面への援助を中心に,その概要を述べる.

 本稿は「生活関連動作」をテーマとしているが,「動作」ではなく,健康管理,金銭管理などの「生活技術」という言葉を用いている.これは,実際の生活場面で使いこなすべきさまざまな行為は本人の主体性の回復とともに単なる動作ではなくなり,生活活動についての技術となると考える1),からである.

移動能力と生活関連動作

著者: 高橋精一郎 ,   後藤武重

ページ範囲:P.595 - P.600

 Ⅰ.初めに

 障害を有しながらも自己の目的や必要に応じた生活を遂行できることがリハビリテーションの最終にして最高の目的である.そのためには屋内はもちろん,屋外においても比較的自由に行動できることが不可欠となる.

 病院内における理学療法訓練もこのことを念頭において計画・実施されるのであるが,これまでの状況をみても十分に目的を達しているとは思われない.

 その主な原因は障害者自身の機能・能力障害によるものであろうが,患者の意欲を阻害したり実行を困難にしている因子として,建築物や交通機関・道路状況などの環境問題を見逃すわけにはいかない.

 そこで本稿では理学療法士の立場から,障害者の屋外移動能力と環境の関係から問題点を提起する.そしてその問題点を受けて,建築士の立場から解決策を障害と対比させながら論じることにする.

外出訓練プログラム

著者: 尾崎和洋 ,   島谷知代子 ,   福井尚子 ,   藤綱徹也 ,   長島弘明

ページ範囲:P.601 - P.606

 Ⅰ.初めに

 生活関連動作(APDL)に占める外出の意義は高い.例えば,Barer & Nouri1)はAPDL評価に18項目を示しているが,そのうち外出に関係するものが9項目(屋外歩行・道路の横断・車の乗降・交通機関の利用・お金の取り扱い・買物・地域社会への外出・車の運転・電話の使用)を占める.

 筆者らの施設では,障害者のQOL(Quality of Life)における外出の意義を重視し,地域の協力も得て外出や外出訓練を積極的に行なってきた.以下に,その実際を紹介する.

とびら

鴨川の西岸から

著者: 黒木裕士

ページ範囲:P.583 - P.583

 川端通りを北に向かい,荒神橋を渡って,バプテスト教会脇の細道からから土手に下りると,四月のそよ風はたいへん心地良かった.

 この鴨川には時々足を運ぶ.昼食を済ませてから散歩するのにちょうどよい距離にあるからだ.日常の雑事から一時的に離れることができることも理由の一つである.ただし,いつもは職場に近い東岸だけで,西岸に渡ってみる気になったのはこれが初めてであった.

入門講座 器具を用いた運動療法・3

器具を用いた協調訓練

著者: 井上隆三

ページ範囲:P.607 - P.611

 Ⅰ.初めに

 協調運動障害を有する症例では,明らかな運動麻痺が存在しないにもかかわらず,随意運動の円滑で迅速かつ正確な遂行ができなくなり,平衡機能障害が出現する.その原因としては,小脳性,深部感覚性,前庭・迷路性運動失調,Parkinson病をはじめとするパーキンソニズム,その他の不随意運動がある.本稿では,協調運動障害の発現機序,それに対する協調訓練の基本的考え方,具体的な訓練法について,協調運動障害の原因となる代表的な疾患である,運動失調症とパーキンソニズムとに分けて述べる.用いる器具は,患者が手軽に使用でき,家庭でも協調訓練が可能となるようなものを中心に選んだ.

1ページ講座 生理学的診断・9

肺機能検査・1 換気能検査

著者: 渡邉修 ,   大橋正洋

ページ範囲:P.612 - P.612

 呼吸とは,肺で行なわれる外気-血液間の酸素と炭酸ガスとの交換過程を意味し,①換気,②肺循環,③換気血液比,④拡散の過程から成り立っている.肺機能検査を評価するに当たっては,おのおの呼吸活動のどの過程を反映しているのか理解する必要がある.

 肺呼吸分画検査(スパイロメトリー)(図1)は最も基本的な換気能検査である.肺のガス交換が十分に行なわれるためには肺内にガスが出入りする量,すなわち換気量が重要な因子になる.また換気量を十分に保つためには肺の容量,すなわち肺気量が問題となる.肺気量は肺が縮もうとする力(弾性収縮力)と胸郭系を広げようとする呼吸筋の力の均衡の上に成り立っている.スパイロメトリーで特に汎用される指標は,肺活量(VC),一秒率(FEV1%),努力肺活量(FVC)である.肺活量の測定値を評価するためには,性,年齢,身長が被験者と同じ健康人の値(予測値)と比較する.予測値に対する実測値の比率を肺活量比(%VC)と言い,通常80%以上を正常と判定する.また最大吸気位からできるだけ速やかに呼出させて得る肺活量,すなわち努力肺活量を測定する場合,図1のように初めは急峻でしだいにおだやかな傾斜をとる曲線(強制呼出曲線)が得られる.一秒量とは最初の1秒間の呼出量を示し,一秒率とは努力肺活量に対する割合を%で示す.通常70以上を正常と判定する.

講座 行動科学・3

行動科学の進歩

著者: 筒井和義 ,   坂田省吾

ページ範囲:P.613 - P.620

 Ⅰ.行動を科学する

 われわれヒトを含めた動物には共通して本能が有ると言われている.この本能に従って現れる個体レベルの反応が本能行動であり,本能行動は個体の維持や種属の保存に不可欠な行動として位置付けられる.また,ある種の動物では,本能のほかに学習したり記憶したりする能力が備わっている.最も進化した動物であるヒトには,さらに思考したり,創造するといったきわめて高度な能力さえある.これらすべての能力を生み出すのが脳の働きであり,行動を科学する上で脳研究はきわめて重要となる.

 脳研究の歴史は古く,歴史上で「脳」という言葉で脳の記載がなされたのは紀元前にさかのぼる.時代の移り変わりとともに,さまざまな脳観が現れ,その多くが消えていった.有名な哲学者であり生物学者としても知られるAristotelesも,「脳という物体」が「血液を冷やす冷却器のようなもの」であるという誤った説を唱えた一人であった.確かな論拠無しに簡単に,説を唱える人はいないと思うが,脳の誤った理解の主な要因はその当時の貧弱な科学技術によるものと思われる.現在,科学技術の進歩と相まって,脳に関する知識は飛躍的に増大している.

特別インタビュウ

―第12回世界理学療法学会―Ruth Wood学会長に聞く―第12回世界理学療法学会について

著者: 奈良勲

ページ範囲:P.621 - P.624

 奈良 Woodさん,日本にようこそいらっしゃいました.日本へは初めてですか?

 Wood はい,初めてです.

 奈良 今回の日本訪問の目的は,第29回日本理学療法士学会に参加することでしたね.

印象に残った症例

運動時に著明な低酸素血症を示す陳旧性肺結核症例に対する安全運動強度の判定と生活指導

著者: 小室透 ,   間瀬教史 ,   居村茂幸 ,   藤原誠 ,   辻田純三 ,   稲森義雄 ,   大西秀明

ページ範囲:P.625 - P.627

 Ⅰ.初めに

 慢性呼吸器疾患患者に運動療法を適用するとき,特に問題となるのは低酸素血症である.これは,換気量の増大に基づいて肺胞低換気が著しくなったり,換気血流不均等分布が増悪したりすることによって招来され,運動のために必要な酸素需要をまかないきれなくなった状態である.また,肺高血圧,心不全を合併している症例では,運動時の心拍出量を十分に増加させることができないため,組織への酸素供給が不足し,低酸素血症による影響が助長される.したがって,このような症例に対しては,身体活動性の管理と指導がいっそうたいせつになる.

 今回,運動時の呼吸困難が比較的少なく,その結果として重篤な運動時低酸素血症を引き起こしている症例を経験したが,それに対して,運動負荷テストの結果を基に許容運動強度を判定し,これに基づいた日常生活指導を行なったので紹介する.

Topics

AIDSの近況

著者: 曽田研二

ページ範囲:P.628 - P.628

 我が国では1991年ころからHIV感染者の報告数が急増し,感染爆発前夜かとの危惧が広まった.我が国のエイズは外国の流行の影響を強く受けているが,最近の世界の流行はどのような状況であろうか.

 AIDSは米国で1981年に初めて報告されて以来,世界各地で年々著しい増加を続け,1993年6月末日現在,世界保健機関(WHO)に184か国から累計718,894人のAIDS患者が報告されている.世界五大州別内訳は,南北アメリカが51.6%,アフリカ34.4%,ヨーロッパ12.9%,オセアニア0.6%,アジア0.5%である.しかし,発展途上国における診断・サーベイランス体制の不備などを考慮すると,この報告数は著しく過少と考えられるため,実際の世界のAIDS患者発生数累計は約250万人以上,その70%はアフリカが占めると推定されている.アジアでは流行が遅れて始まったため,AIDS患者の報告数は少ないが,1990年代に入ってから増加が目立っている.また,成人のHIV感染者の地域別累積数は,サハラ以南アフリカが800万人以上,北アメリカ100万人以上,ラテンアメリカ・カリブ海地域150万人,南および東南アジア150万人以上,西ヨーロッパ50万人,北アフリカ・中東7.5万人以上,東ヨーロッパ・中央アジア5万人,東アジア・太平洋地域2.5万人以上,オーストラリア・ニュージーランド2.5万人以上,総計1300万人以上と推計されている.

プログレス

最新の白内障治療

著者: 大鹿哲郎

ページ範囲:P.629 - P.629

 1.初めに

 白内障とは眼の水晶体が濁る病気で,糖尿病や外傷が原因となることもあるが,ほとんどは加齢によるものである.白内障が生じるとかすみ,まぶしさ,視力低下などの症状が現れる.

 白内障を治療するには,手術的に水晶体を摘出するしかない.混濁した水晶体を取り除き,代わりに眼内レンズを挿入して度数を補う.この水晶体摘出法や眼内レンズ挿入法には,近年さまざまな進歩があった.

理学療法草創期の証言

清瀬リハ学院草創のころ

著者: 松澤博

ページ範囲:P.630 - P.630

 我が国における理学療法士,作業療法士の養成は1963年5月,東京都清瀬市(当時は清瀬町)の国立療養所東京病院附属リハビリテーション学院で始まった.東京病院清瀬病棟の広大な敷地の中には結核療養所の古い木造の病棟が何棟も立ち並び,それらの棟は松林に囲まれ,療養所のもつ独特な奮囲気の中,我が国初のリハビリテーション学院は敷地の片隅にあった.

 我が国における理学療法士,作業療法士養成校の第一号とはいえ,その建物は古ぼけた木造平屋建の病院附属の建物を改造したものであり,正面入口を入って右に折れて事務室と教室が一つ,左に折れて学生宿舎が廊下で結ばれた一棟であった.これは,1963年とはいえあまりにも粗末な感じのするものであった.このような環境でのスタートは,リハビリテーションとは,あるいは,理学療法とは何なのかを十分に理解することができないままに集まった学生の中には,希望とともに,そのあまりのみすぼらしさに大きな不安を抱いた者も少なくなかった.

私立リハビリテーション学院の誕生

著者: 中屋久長

ページ範囲:P.631 - P.631

 「近年,医学的リハビリテーションは急速に発達し,最も重要な社会問題の一つとなっているにもかかわらず,養成校は少ないこのことはわが国における医学的リハビリテーションの本格的な普及発達を阻害する原因となっている重大事実にかんがみ…云々」これは1965年9月申請された高知リハビリテーション学院の設立趣旨の一部分である.高知に早い時期に理学療法士養成が考えられた背景には,当時高知学園短期大学教授であった上村登先生の存在は大きい.

 新設学科の検討の中で諸外国での理学療法士の存在を知り,理事会に提案されたが,理学療法(士)を理事の方々に理解してもらうのに難儀したことが先生が残された記録にある.例としてHubburdタンクをボール紙で作ることが真剣に議論されたなどという.当時の理事長は元全協連会長の藤田三郎氏で,全協連傘下の病院にリハビリテーション部門があり,唯一の理解者となった.

あんてな

インドネシアにおける地域リハビリテーション支援

著者: 田口順子

ページ範囲:P.632 - P.632

 日本理学療法士協会では今年度よりインドネシア,ソロ市における地域リハビリテーション(CBR)プロジェクトの活動を開始した.実施母体は財政的支援をすべてバックアップする国際医療技術交流財団(理事長,渡辺美智雄)と運営実施する日本理学療法士協会である.国際渉外部(部長,田口順子)がこれを担当している.これまでにも国際医療協力には中国リハビリテーションセンターへの協力参加,専門家派遣,青年海外協力隊などのODA依頼による協力参加は数多い.今回のCBRプロジェクトの特筆すべき事項は企画の段階からすべて協会主体で進められることである.

 まず「CBR支援プロジェクト」が協会国際渉外部に編成され5か年計画が立てられた.実施計画内容はおよそ次のようなものである.

雑誌レビュー

“Physiotherapy”(1993年版)まとめ

著者: 畠中泰司

ページ範囲:P.633 - P.637

 Ⅰ.初めに

 1993年度に発行された“Physiotherapy”第79巻では,Professional Articlesが55編,Historical Perspecitive 11編,Leading Article 14編,Preliminary Reportなどで構成されている.Professional Articleを論文名に並記されている分類に従い整理したものが,表1である.この第79巻では,特集として高齢者に関するものとHIV/AIDSに関するものとが組まれている.

 このProfessional Articlesを分野別にみると,感染症(HIV/AIDS),高齢者,スポーツ障害・整形外科,教育・管理,神経生理・中枢神経疾患,呼吸理学療法,物理療法,装具に関するもの,その他であった.今回は,上記の分類に従い,これらの論文の要旨を紹介することとする.

 なお,文中の[( )]内の数注字は,( )内が論文の掲載号数,続く数字が通巻のページを示す.

資料

第29回理学療法士・作業療法士国家試験問題(1994年度) 模範解答と解説・Ⅲ―理学療法(3)

著者: 坂江清弘 ,   森本典夫 ,   吉田義弘 ,   前田哲男 ,   吉元洋一 ,   大重匡 ,   佐々木順一 ,   高江玲子 ,   山口尚美

ページ範囲:P.638 - P.641

報告

脳血管障害における重症例に対する理学療法

著者: 稲坂恵 ,   福田光祐

ページ範囲:P.642 - P.645

 Ⅰ.初めに

 近年,脳血管障害者の早期リハビリテーションの重要性は常識となり,その実践で効果も上がっている.しかし,このようなアプローチをしてもなお,身辺自立能力の低い重症例は存在し,むしろ最近ではこれら症例の増加が報告1,2)されている.

 古くより“障害がいくら重度であっても決してリハビリテーションの対象外ではない”とする理念3~5)が示されてきた.そして,重症例のうち若年齢患者や多様な機能障害患者の予後予測は困難であるとの報告6)も出されている.したがって重症例のゴール設定をおしなべて不良とするのではなく,個別性を重視して慎重に評価し,具体的な方策をもって有効なアプローチを検討する必要があろう.

 そこで一般的に身辺自立能力が低いと言われる重症例に対して,実際にどのような理学療法が行なわれているのか,われわれの治療経験を紹介し,最終自立度の結果から理学療法の意義について考察する.

学会印象記 第28回作業療法学会

小さな会場で大きな学会をみた

著者: 佐藤峰善

ページ範囲:P.646 - P.647

 去る6月15,16,17日の3日間に秋田市文化会館で行なわれた第28回日本作業療法学会に参加することができましたので,その印象を簡単に報告します.

 本学会のテーマは「分化と統合」でした.「様々な研究会が設立され,専門的な研究がなされてきているが,作業療法として押さえておくべきものは何か,また生涯教育の中で何が自分たちに必要かを知りたい.そんな思いから…」と,関賢氏は学会誌の編集後記で述べていました.

 私は本学会に初めて参加したのですが,ここ秋田では30名にも満たない理学療法士会員で第17回日本理学療法士学会を開催したエピソードを聴いて知っているため,本学会では声援の気持ちを含みながら会場に足を運びました.会場そのものは最近のビッグイベントを開催するには多少小さい印象がありますが,その分,受付周辺は終日参加者で埋まっていると思われるほど活気がありました.

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文献抄録

ページ範囲:P.648 - P.649

編集後記

著者: 福屋靖子

ページ範囲:P.652 - P.652

 激暑の日本列島にもかかわらず,四年制大学化で一段の発展の兆しがみられる理学療法士の世界は,勢いある青春の躍動感さえ覚え,草創期の証言は幻の如く感じられるようになったのは筆者だけだろうか?

 特集としての初めてのテーマ“生活関連動作”を企画した.まだ定義があいまいな言葉ではあるが,現時点における概念化を安藤徳彦氏に整理していただいた.生活関連動作の重要性理解については経験に比例して高まるものの日常の繁忙に追われてつい後回しにしがちな現状を振り返ってみるとき,はたしてQOLを目標としたリハビリテーション援助になっているのかと考えさせられる.依頼した著者諸氏は真の生活指導を系統的に実践しておられ,その経験から生み出されたプログラムを読者にわかりやすく整理し紹介しておられる.西ケ谷節美氏らは「障害とともに暮らす技術」として生活管理能力を中心に生活技術援助プログラムの概要をまとめられた.

基本情報

理学療法ジャーナル

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1359

印刷版ISSN 0915-0552

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