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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル28巻9号

1994年09月発行

文献概要

1ページ講座 生理学的診断・9

肺機能検査・1 換気能検査

著者: 渡邉修1 大橋正洋1

所属機関: 1神奈川リハビリテーション病院リハビリテーション科

ページ範囲:P.612 - P.612

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 呼吸とは,肺で行なわれる外気-血液間の酸素と炭酸ガスとの交換過程を意味し,①換気,②肺循環,③換気血液比,④拡散の過程から成り立っている.肺機能検査を評価するに当たっては,おのおの呼吸活動のどの過程を反映しているのか理解する必要がある.

 肺呼吸分画検査(スパイロメトリー)(図1)は最も基本的な換気能検査である.肺のガス交換が十分に行なわれるためには肺内にガスが出入りする量,すなわち換気量が重要な因子になる.また換気量を十分に保つためには肺の容量,すなわち肺気量が問題となる.肺気量は肺が縮もうとする力(弾性収縮力)と胸郭系を広げようとする呼吸筋の力の均衡の上に成り立っている.スパイロメトリーで特に汎用される指標は,肺活量(VC),一秒率(FEV1%),努力肺活量(FVC)である.肺活量の測定値を評価するためには,性,年齢,身長が被験者と同じ健康人の値(予測値)と比較する.予測値に対する実測値の比率を肺活量比(%VC)と言い,通常80%以上を正常と判定する.また最大吸気位からできるだけ速やかに呼出させて得る肺活量,すなわち努力肺活量を測定する場合,図1のように初めは急峻でしだいにおだやかな傾斜をとる曲線(強制呼出曲線)が得られる.一秒量とは最初の1秒間の呼出量を示し,一秒率とは努力肺活量に対する割合を%で示す.通常70以上を正常と判定する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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