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雑誌目次

雑誌文献

理学療法ジャーナル29巻10号

1995年10月発行

雑誌目次

特集 運動コントロールと運動学習

essence of the issue

ページ範囲:P.669 - P.669

 本誌では第22巻(1988年)で,12回にわたり「運動学習」というテーマの講座を企画したそれから7年,運動コントロールおよび運動学習理論は脳の科学,認知科学などの進歩によってかなりの発展がみられている.それを受けて理学療法の分野においても変革の兆しはある.本号特集「運動コントロールと運動学習」 のねらいは,これまでに得られた知見を整理し,理学療法への展開を模索することで,その変革の加速を図ることにある.

運動の習熟と記憶

著者: 入来篤史

ページ範囲:P.670 - P.675

 Ⅰ.はじめに

 ヒトの体には約400個の筋肉があり,約200個の骨をつないでいる.そして,これらの筋肉が収縮すると関節の角度が変化して体が動く.このとき,各々の筋肉がそれぞれ勝手に収縮していたのでは体の各部位がただばらばらに「動く」だけで,ある目的を実現するためのスムーズな「運動」のイメージからはほどとおい.ある一群の筋肉が一定の組み合わせと時間経過で協調して収縮したときに,初めて意味のある動きがひきおこされる.これでもまだ十分ではない.個々の筋肉を一定のパタンで活動させることができても,外界の環境(外部負荷など)やわれわれ自身の体の状態(体位,筋疲労など)が異なれば,体は違った動き方をする.したがって,「上手に運動することを学習する」ということは,「目的を達成するために,状況に応じた適切なパタンで筋群を活動させるためのメカニズムを獲得することである」といいかえられる.つまり,①一定の運動を発現するメカニズムが基礎にあり,その上に,②それを変化させたり選択したりするメカニズムを考える.後者の働きが狭義の運動学習である.

 まず,運動を発現する基礎的なメカニズムを簡単に確認しておく(図1).運動中枢の働きは,大きく3つのレベルに分けて考えると,理解やすい1).つまり,①「何を行うか」という戦略的プランをたてる最高位のレベル,②「どのように行うか」という戦術的プログラムをたてる上位のレベル,③「命令を正確に遂行する」下位のレベルである.最高位のレベルは,大脳皮質の諸領域(運動前野,補足運動野,連合野など)や,大脳基底核,小脳,辺縁系などが結ばれた複雑な神経ネットワークで,このなかでのインパルスのやりとりの結果,上位のレベルの中心である一次運動野からどのような運動指令が下位のレベルに向かって出力されるかが決まる.例えば,辺縁系で運動しようという意欲がおこり,それに基づいて連合野はどういう運動を行おうかというアイディアを決め,それをどのような順序で(基底核や補足運動野)どのくらいの強さで(運動前野や小脳)行うかプログラムを具体的に調整して,最終的に上位レベルで運動野が出す命令が作られる,といった具合である.下位のレベルの中心は脊髄にあり,ここでは上位脳からおりてくる命令に従って,各種の反射性調節を含む神経回路(サーボ機構)の働きにより運動ニューロンの活動パタンが決定される.

 運動ニューロンは,筋線維に「収縮しろ」と直接命令する.運動ニューロンが1回活動(インパルスを1つ発生)すると筋線維は1回だけ瞬間的に収縮する.これを単収縮といい,その強さと持続時間はそれぞれの筋線維によってほぼ決まっている.そして,インパルスが続いて発生すると,単収縮が重なり合って大きな力を発生したり,収縮が長い間持続したりする.つまり,どの運動ニューロンがどのように活動するかで,諸筋の活動パタンが決まる.このように,運動は,中枢神経系の内部ではインパルスを介して計算される情報として表現されており,それが筋肉に伝えられて初めて力学的な実体として実現されるのである.

 運動を行っているとき,それぞれのレベルには様々な感覚情報が入ってくる.これらの感覚に基づいて,行おうとした運動は目的を達成するために適切なものであるか,出された運動指令は自分の体調・運動能力に見合った適切なものであるか,進行中の運動は適切に遂行されているか,などがチェックされているのである.そして,これらの評価に基づいて,運動中枢の働きはつねに修正・最適化されている.この過程を積極的に,目的をもって行うことが,すなわち運動の学習だと考えられる.したがって,本稿では,運動学習も上記3つの運動中枢レベルに分けて考えてみたい.すなわち,最高位のレベルではどのように運動の構想を練って具体化し,上位のレベルではどのように効率のよい運動指令をつくり上げ,下位のレベルではどのように反射を調節して運動をスムーズに行えるようにしているか,という問題である.以下の章では,これらを,具体的イメージのつかみやすい下位のレベルから順に検討する.Ⅱ,Ⅲ章では主にウサギ,ネコ,サルなどの動物実験のデータに基づく知見を,Ⅳ章ではヒトでの実験結果を中心に紹介する.

知覚と運動―エコロジカル・アプローチ入門

著者: 佐々木正人

ページ範囲:P.676 - P.680

 筆者は年に1回,埼玉県の所沢市にある国立身体障害者リハビリテーションセンター学院で,「リハビリテーション体育」を学ぶ人々に講義をする機会をもっている.障害を得た後に身体がどのように変化していくのか,多くのことを教えてもらう.例えば「幻肢バタ足」という現象である.「幻肢バタ足」というのはその講義の場での命名であるが,膝から下の脚を切断した者がリハビリテーションとして水泳を行うときに現れる大腿の動きである.切断後はじめて水中に入ったときには,大腿はまるでなくなった膝から下の脚とまだつながっているようにバタ足様の動きをする.いうまでもなく,この動きは水中での推進力のほとんどを失っている.だから「幻肢バタ足」というわけである.

 この「バタ足」様の動きは,特に指導しなくてもある期間,下脚切断者が水中でのリハビリテーションを続けると自然に消失するらしい.そして,それに代わってちょうど川の流れを上る魚の背のような,柔軟に左右にゆれる動きが大腿に現れるという.この左右へのゆれのパタンの現れは,おおげさにいえば下脚なしの大腿が,新たに「水」を発見したこと,つまり障害をこうむった身体が新たな環境としての水を「再発見」したことを示している.ここに見られるのは「回復」ではなく,1つの「達成」と呼ぶことができる.だからそれに立ち会った者たちに強い印象を与える.

運動学習理論の理学療法への応用

著者: 吉尾雅春

ページ範囲:P.681 - P.686

 Ⅰ.はじめに

 脳の科学,認知科学,行動科学,運動学習理論などの接近で,米国では中枢神経障害の理学療法のあり方が変革しようとしている.特にこの10年間では,運動制御に関してシステム理論あるいはエコロジカル・アプローチという概念が注目され,従来の運動制御の考え方に一石を投じ,理学療法のあり方にも示唆を与えている.

 運動学習は運動療法および動作訓練の一分野として位置づけることもできるが,究極的にその効果は日常の環境のなかで行動としていかに表現されるかで問われるべきであろうから,さらに広い視野でとらえる必要がある.つまり,理学療法室以外の生活あるいは社会「環境」という因子をいかに活用していくかも考えていかなければならない.より実際的な場面で理学療法を積極的に行うことによって,著しい能力改善をみることも珍しくない.運動制御の反射・反応モデルおよび階層モデルに拠り所を求めたこれまでの中枢神経障害の理学療法を反省すべき時期に来ている.

 本稿では,今後の理学療法の基盤になると思われる運動制御および運動学習に関する理論を概説した上で,それらを念頭に置いた理学療法のあり方について脳卒中片麻痺を中心に述べる.

乳幼児の発達と運動制御

著者: 今川忠男

ページ範囲:P.687 - P.692

 Ⅰ.乳幼児の発達と理学療法との関連性

 「乳幼児や小児の運動発達とはどのようなものか.」「運動発達に影響をおよぼしているのは何か.」「理学療法士にとって運動発達の研究や知識はなぜ重要なのか.」「運動発達の知識や理論をどのようにして小児の理学療法に応用するのか.」

 このような課題や質問が,臨床活動を行っている理学療法士からだけでなく,理学療法教育を受けている学生からも頻繁に寄せられる.この重要な命題に答えるためには,発達科学の包括的な歴史的展望,理学療法の基礎をなす仮説としての発達科学の位置づけを理解していかねばならない.

スポーツ障害への運動コントロールと運動学習理論の応用

著者: 福井勉 ,   入谷誠 ,   大野範夫 ,   山口光國 ,   永井聡 ,   小笹佳史 ,   山嵜勉

ページ範囲:P.693 - P.699

 Ⅰ.はじめに

 スポーツ障害の原因は,組織に対して頻回に生ずるストレスであるとされている.一度の外力でおこるスポーツ外傷とは異なり,姿勢や動作自体にスポーツ障害の原因があるといっても過言ではない.したがって,学習されたパフォーマンスに問題があり,このパフォーマンスを正常化することが,スポーツ障害の根本的解決になり得ると考えられる.

 筆者らは正しいパフォーマンスの学習における最も重要な要素を「姿勢」においている.そこで本論では,運動学習を「姿勢」の観点から考えてみたい.

とびら

健康増進の理学療法

著者: 中田昌敏

ページ範囲:P.667 - P.667

 フィジカルフィットネスという言葉をよく目にし,聞くようになってきた.私が学生時代に使っていた辞書には載っていなかった.最近の辞書をみると「体力・体力づくり」などと訳されている.リハビリテーションという言葉が,辞書で訳されている内容より,より多くの意味を含んだ活動であるように,フィジカルフィットネスという言葉のもつ意味も概念的にはより広く解釈され,浸透しつつある.

 この言葉をその人の体力に合わせた運動と解釈し,体力という要素のなかに疾病・障害の有無を含めれば,とても大きな意味をもつことになる.医療行為と健康づくり活動の明確な区分けは難しい.健康づくり医学と表現する立場,地域リハビリテーションと表現する立場,福祉サービスと呼ぶべきものなど,いろいろな活動が行われている.広義な解釈が可能であればあるほど,多くの人が関わる可能性があり必要性があるということである.

入門講座 在宅障害者を支援する社会資源の活用・4

身体障害者に対する住宅改造助成制度の活用―横浜市の住環境整備事業をとおして

著者: 藤井智 ,   渡邉慎一 ,   松葉貴司

ページ範囲:P.700 - P.707

 Ⅰ.はじめに

 日本家屋は狭いうえに敷居などの段差があり,障害者にとって住みやすい環境とはいいがたい.そのため,在宅生活を行うに当たり,各々の障害に合わせた環境整備が重要である.環境整備は,家具の配置換え程度で済むこともあるが,手すりの設置や段差解消などを行えば,いくらかの出費が伴う.経済的な負担が大きければ,改造計画の変更を余儀なくされる.このため,住環境を適切に整備するには,資金をいかに確保するかが重要な要件であり,各種の融資や助成制度の利用が考えられる.

 融資には,全国ほぼ共通する制度として,金融機関のローンなどの民間融資と住宅金融公庫などが行っている公的融資がある(一部に自治体独自の融資もある).一方,助成制度の実施主体は自治体であり,その内容にはかなりの格差がある.表1に関東地方のみであるが,各自治体による住宅改造に対する助成制度の概要を示す.住宅改造資金の獲得においては,返済を義務づけられている融資より,まず費用の一部を補助してくれる助成制度の活用を検討するほうが得策であろう.

 横浜市では,障害者・高齢者に対する住宅環境の整備に当たって,福祉事務所と横浜市総合リハビリテーションセンターが一体となり住宅改造の助成制度に取り組んでいる.本稿では,助成制度の利用に当たっての理学療法士や作業療法士の役割や留意点について,筆者らの経験を紹介することにしたい.

雑誌レビュー

“Physiotherapy Canada”1994年版まとめ

著者: 薄葉眞理子

ページ範囲:P.708 - P.711

はじめに

 1994年版(Vol.46)は冬春夏秋号(No.1~4)の4号が発行されている.内容は,論説(editorial),大会報告(congress report),巻頭言(dialogue),研究論文(articles)に分かれている.総説論文(review)は目次のなかでは研究論文に含まれている.お国柄,論説および研究論文の要旨は英仏2か国語で記載されている.編集者による論説は,医療の質,研究の科学性,教育をテーマに扱ったものが多い.当たり前のことであるにもかかわらず,実際には理想と現実のギャップを再認識させるような読みごたえのあるものが多い.

クリニカル・ヒント

つり上げ装具(足つり)の工夫

著者: 前田真一

ページ範囲:P.712 - P.713

 1.はじめに

 脳卒中片麻痺における装具療法は,基本的には機能訓練の補助手段として用いられており,従来から支柱付き短下肢装具が処方されてきた.これは尖足の矯正や外側T(またはY)ストラップを付けて内反をコントロールすることで,歩行の安定性を与えることを目的としたものである.しかし,1971年ごろからプラスチック(オルソレン製)装具が輸入されて以来,曲げ疲労に強いポリプロピレンの出現とその真空成形技術の導入によって,プラスチックの短下肢装具が飛躍的に進歩した.今日では,耐久性,支持性の両面で十分に実用性のある素材の開発が進み,靴にはめ込むことができるプラスチック製短下肢装具が主流となっている.さらには,より機能的かつコスメチックな装具が求められてきている.

 その代表的なものとして,KU half AFOや湯之児型AFOなど全面支柱で足関節固定タイプがある.これらの短下肢装具は着脱が容易で,脳卒中片麻痺で痙縮があり,やや尖足傾向にある足に対し,背屈0°~5°に足部を保持することができる.また,前方支柱が下腿全面の筋群を促通するので,脳卒中などの痙性下肢には理論的にも適しているといわれているが,使用できる靴に制約があるなどの問題がある.

 一方,従来から,最も簡便なものとして,短下肢軟性装具があり,つり上げ装具(足つり)がその代表的なものである.これは軽度の痙性麻痺に対して処方されることもあったが,下腿部への固定性に問題があったり,靴のフックの位置や靴などの問題(取り付けに手間がかかる)があって敬遠されてきた.しかし,下腿部の固定を工夫し,靴のフックの取り付け位置やつり上げゴムを調整することで,簡単かつ迅速に製作することができるし,最大の利点として靴が自由に選べることがあり,もっと使用されても良いと思われる.

 そこで,つり上げ装具(足つり)を利用している患者のニーズに即応しながら工夫した点を紹介する.

プログレス

MRSA感染対策の最近の傾向(2)

著者: 鈴木達夫 ,   奥田舜治

ページ範囲:P.715 - P.715

 3.MRSAが検出されやすい場所

 われわれがモニタリング調査した病院の指標菌の平均検出率を表に示す.この結果を,さらに病院環境からMRSAが検出される主たる場所について検討すると,ICUや病棟のナースステーションの床である(24%).手術室や中央材料滅菌室など清浄区域の床から検出されるのはごく稀である.また,壁および天井から検出されることは,病棟でも極めて少ない.病室家具,ベッド周囲にある手が触れるものについてはよく検出される(11.5%).感染患者のいる室内の空気清浄器,および空調機のフィルターからも検出されやすい(10%).風呂,シンク,洗面器からはよく検出される(17.9%).トイレおよび汚物処理室では,換気口,換気扇表面の付着ごみからよく検出される(29.2%).ベッド,マットレスについても,感染患者がいる場合にはよく検出される(14.3%).理学療法室や機能訓練室の器具および床からは,頻繁に検出されている.

理学療法草創期の証言

らい療養所からの無資格特例組誕生

著者: 角谷亮蔵

ページ範囲:P.716 - P.716

 これまで,多くの理学療法士から理学療法草創期の証言が本欄に寄せられているが,ここでは,特例でらい療養所から理学療法士が誕生したいきさつを中心に黎明期の一面を記録しておきたい.

 国立らい療養所は日本全国に11か所あり,四肢末梢神経麻痺,切断などの理学療法を心要としている医療施設である.長いあいだ社会からの隔離という特別な事情の下に置かれていたのは周知のことで,リハビリテーション専任者も極めて少なかったが,今日では,ほとんどの施設に定員が配置され,隔離政策も撤廃されようとしている.

あの苦しさも今は良き思い出

著者: 池内峯雄

ページ範囲:P.717 - P.717

 本誌編集室から本欄への執筆依頼を受けたとき,正直いって戸惑いを感じた.あれから30年を経て,辛いことは忘れる性格のせいか思い出せない事柄も多い.残っていた記録や学習ノートを引っ張りだして,自分なりの回顧として述べたいが,時折愚痴っぽくなる点はご容赦いただきたい.

 私が登別厚生年金病院に就職したのは1962年1月だから,勤続33年が過ぎたことになる.就職した翌年,故・秋元久実先生から,「日本にも本格的にリハビリテーション医学が導入され,近い将来,新しい法制度と国家試験が予測されるので各自留意しておくように」との話があった.そして1963年,当院から国立療養所東京病院附属リハビリテーション学院一期生として奨学生が入学し,秋元先生の話を現実のものとして感じることとなった.

あんてな

広島大学医学部保健学科の大学院構想

著者: 梶原博毅

ページ範囲:P.718 - P.718

 1.はじめに

 平成4年4月,広島大学医学部に保健学科が設置され,わが国において長い間の念願であった理学療法学および作業療法学の4年制大学教育が始まったことはすでに周知のとおりである.その後,札幌医科大学の保健医療学部,北里大学の医療衛生学部,神戸大学の保健学科と急速にその数が増加し,これからもかなりの数の大学が設置されるものと予測される.しかし,この分野の大学教育も,教育・研究機関としての十分な機能を果たすためには大学院の設置が必須のものであることは論をまたない.

 広島大学は,全学部に大学院を備えた数少ない国立総合大学の1つであり,保健学科に大学院を設置する計画は,保健学科設置準備の時からすでに視点においていたものである.したがって,平成5年4月から大学院設置準備委員会を設けて準備作業を開始し,第1回の卒業生から入学できるよう,平成8年4月の大学院(修士課程)設置に向けて計画案をまとめてきた.この構想について簡単に述べる.

講座 車いす・義肢・装具の臨床知識・4

義足継手

著者: 東江由起夫 ,   吉田昌裕 ,   松本俊一

ページ範囲:P.719 - P.726

 Ⅰ.はじめに

 義足の継手は部位により足継手,膝継手,股継手に分類され,目的や機能は継手の種類によって異なる(ここでは足継手を足部に含めて述べる).近年,欧米では材料の発展とともに高機能な継手や足部が開発され,日本でもここ数年輸入され,使用されている.

 特にめざましく発展を遂げたのは足部と膝継手である.足部はSACH足や単軸足部よりもエネルギー蓄積型足部が多く使用され,膝継手はコイルバネ式による遊脚相制御装置より空圧式,油圧式のものが使用される傾向にある.また材質も,軽量化を目的にカーボン繊維を利用したものが増えてきている.しかし,こうした継手や足部に関する物性試験などの客観的評価は行われているものの,個々の切断者に適した継手や足部の選択は臨床の場に委ねられているのが現状である.ここでは継手や足部の基本的概念について述べ,厚生省が認可した継手や足部の中から最近普及している代表的なものについて紹介する.

1ページ講座

リハビリテーション関連領域の重要略語集・10

著者: 太田喜久夫 ,   大川弥生

ページ範囲:P.728 - P.729

Q ①Queckenstedt's test クウェッケンシュテット検査《腰椎穿刺時の検査》.②quotient 係数,商.

q. quaque〔ラテン語〕 各々,すべての.

学会印象記 第30回日本理学療法士学会

とにかく大変だった学会発表

著者: 赤羽根誠

ページ範囲:P.730 - P.731

はじめに

 第30回日本理学療法士学会は本年6月8,9,10日の3日間にわたって東京で開催された.本学会のテーマは「21世紀への理学療法プランニング」であり,理学療法の科学性,教育の質,さらには社会と国民にたいしてどのように貢献できるかについて検討が行われた.この記念すべき第30回学会で,私は「当院における早期リハビリテーションの検討(第一報)―早期理学療法の実際」と題して,初めて発表を行うことができた.

 本印象記では,これから全国レベルの学会で発表を行いたいと考えている方々に少しでも参考になればと思い,学会発表までの経過,発表に関することを中心に記すことにしたい.

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文献抄録

ページ範囲:P.738 - P.739

編集後記

著者: 吉尾雅春

ページ範囲:P.742 - P.742

 第12回WCPT世界学会に参加する機会を利用してスウェーデンを訪問してきました.わずか2日半の滞在でしたが,PT,OT,ST,看護婦,病院経営者など多くの人たちと話をすることができました.その中で日本のPTやOTの業務について的を得た厳しい指摘をされたことが印象に残りました.来日経験のある彼女たちがいうには,「日本のPTやOTはPT室,OT室に閉じこもり,なかなか実際的な場面での動作訓練をしないし,また,その指導もうまくできない.動作あるいは社会生活を効率的に行う適当な機器の選択も使用説明もできない.そのようなことを教育できる人間はいないのか」ということでした.

基本情報

理学療法ジャーナル

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1359

印刷版ISSN 0915-0552

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