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特集 運動コントロールと運動学習
運動学習理論の理学療法への応用
著者: 吉尾雅春1
所属機関: 1札幌医科大学保健医療学部理学療法学科
ページ範囲:P.681 - P.686
文献購入ページに移動 Ⅰ.はじめに
脳の科学,認知科学,行動科学,運動学習理論などの接近で,米国では中枢神経障害の理学療法のあり方が変革しようとしている.特にこの10年間では,運動制御に関してシステム理論あるいはエコロジカル・アプローチという概念が注目され,従来の運動制御の考え方に一石を投じ,理学療法のあり方にも示唆を与えている.
運動学習は運動療法および動作訓練の一分野として位置づけることもできるが,究極的にその効果は日常の環境のなかで行動としていかに表現されるかで問われるべきであろうから,さらに広い視野でとらえる必要がある.つまり,理学療法室以外の生活あるいは社会「環境」という因子をいかに活用していくかも考えていかなければならない.より実際的な場面で理学療法を積極的に行うことによって,著しい能力改善をみることも珍しくない.運動制御の反射・反応モデルおよび階層モデルに拠り所を求めたこれまでの中枢神経障害の理学療法を反省すべき時期に来ている.
本稿では,今後の理学療法の基盤になると思われる運動制御および運動学習に関する理論を概説した上で,それらを念頭に置いた理学療法のあり方について脳卒中片麻痺を中心に述べる.
脳の科学,認知科学,行動科学,運動学習理論などの接近で,米国では中枢神経障害の理学療法のあり方が変革しようとしている.特にこの10年間では,運動制御に関してシステム理論あるいはエコロジカル・アプローチという概念が注目され,従来の運動制御の考え方に一石を投じ,理学療法のあり方にも示唆を与えている.
運動学習は運動療法および動作訓練の一分野として位置づけることもできるが,究極的にその効果は日常の環境のなかで行動としていかに表現されるかで問われるべきであろうから,さらに広い視野でとらえる必要がある.つまり,理学療法室以外の生活あるいは社会「環境」という因子をいかに活用していくかも考えていかなければならない.より実際的な場面で理学療法を積極的に行うことによって,著しい能力改善をみることも珍しくない.運動制御の反射・反応モデルおよび階層モデルに拠り所を求めたこれまでの中枢神経障害の理学療法を反省すべき時期に来ている.
本稿では,今後の理学療法の基盤になると思われる運動制御および運動学習に関する理論を概説した上で,それらを念頭に置いた理学療法のあり方について脳卒中片麻痺を中心に述べる.
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