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特集 廃用症候群と理学療法
高齢患者の廃用症候群の側面と理学療法
著者: 岩月宏泰1 岩月順子2 金井章3 中川光仁4 太田進4
所属機関: 1名古屋大学医療技術短期大学部理学療法学科 2東海記念病院リハビリテーション科 3蒲郡市民病院理学診療科 4豊橋市民病院リハビリテーション科
ページ範囲:P.840 - P.845
文献購入ページに移動本邦では人口の高齢化に伴い,寝たきり老人,痴呆老人および75歳以上の後期高齢者による要介護老人が増加しており社会的問題となっている.身体的側面からみた老化は成熟期以降の機能低下とみなすことができるが,機能低下の速度は個々人によって異なり,同年齢でもそのバラツキは著しい.このバラツキは,疾病,その人の栄養状態,労働経験,運動の習慣,喫煙,飲酒の状態などで影響を受ける.このため,高齢患者に対して理学療法を実施する際にはその生活背景をも考慮すべきであり,ゴールもそれに合わせたものとなろう.
ところで,高齢患者の理学療法を進める上で廃用症候群をいかに予防するかが重要なことは改めていうまでもない.廃用症候群は患者に過度の安静や低活動状態を維持させた結果発現するものであり,これは患者の年齢や発症からの経過・期間に関係なく生じるものである.高齢患者では疾病の重度重症化をきたしやすいことや老化による身体機能の低下などで,廃用症候群が若年者に比べ短期間のうちに発現し重度化しやすい.さらに,発現前の健康状態に回復させるのが困難であることが挙げられる.そのため,高齢患者では廃用症候群の予防が最優先されるべきであるが,臨床場面では必ずしも全て成功しているわけではない.
今回,高齢患者にみられる加齢と廃用症候群の問題を整理するとともに,機能低下を改善させるための方策についても論述する.
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