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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル29巻2号

1995年02月発行

文献概要

特集 Duchenne型筋ジストロフィー

Duchenne型筋ジストロフィーの治療と合併症に関する最近の知見

著者: 石原傳幸1

所属機関: 1国立療養所東埼玉病院内科

ページ範囲:P.76 - P.81

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 Ⅰ.筋ジストロフィーの概念と発症機序

 神経筋疾患はおおまかには末梢運動神経異常によって起こる筋萎縮症(muscular atrophy)と筋自体に異常があるミオパチー(myopathy)との二つに分けられている.筋ジストロフィー(muscular)dystrophyはミオパチーの代表的疾患であり,遺伝性で進行性筋力低下を呈するミオパチーと定義される.19世紀末にフランスのDuchenneが現在Duchenne型筋ジストロフィー(以下,DMDと略.)と呼ばれる疾患を記載した.20世紀に入りドイツのErbが筋力低下を呈する疾患群をまとめ筋ジストロフィーという概念を作り上げた.筋萎縮症(muscular atrophy)は神経原性疾患(下位運動神経異常による筋萎縮性疾患を意味する.)であり脊髄性筋萎縮症や筋萎縮性側索硬化症などが含まれる.

 筋ジストロフィーには種々の疾患が含まているが,そのうちDMDが最も症状が重く経過も悲惨であり,かつ患者数も多いところから一般に筋ジストロフィーと言えばDMDを指す.1985年からアメリカのKunkelらはDMD遺伝子の構造を解明し,この遺伝子が作るタンパク質にジストロフィンという名前を与えた1).その後の研究では,このタンパクは筋細胞膜直下にあり膜の安定化,補強などをしているらしいことが解明された.DMDの良性型であるBecker型筋ジストロフィー(BMD)も同じ遺伝子の異常で発生するが,DMDでは筋膜におけるジストロフィンはまったく欠損し,BMDでは異常なジストロフィンが形成されることも判明した2).両者は本質的には同じ疾患ではないかと考えられ,DMD/BMDと一括して語られることもある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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