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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル29巻2号

1995年02月発行

文献概要

講座 理学療法教育論・2

理学療法教育システムの変遷

著者: 黒川幸雄1

所属機関: 1国立療養所東京病院附属リハビリテーション学院

ページ範囲:P.119 - P.128

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 Ⅰ.初めに

 システムとは,組織,構造,制度,系統,そして体系という意味を有する,○○システムという名称を使用した言葉は,社会の随所に存在している.われわれが住んでいる日本という国は,社会システムが緻密に張り巡らされている.管理的側面を問題にするならば,日本社会は高度に発達した管理システムをその要素にした社会システムで成立している.ではこの社会システムは,現在と30年前とでは同様であったか,あるいは80年前とで同様であったのか,その答は言うまでもない.今日までの30年間,あるいは80年間の歳月を掛けて巨大にシステム化してきたものなのである.

 30年前に我が国最初の養成施設ができたのが,日本における理学療法教育システムあるいは理学療法士という職種を包括した医療システム創作劇の開始なのである.そしてその現象は当時の社会状況を反映したものなのである.また第一次世界大戦中,約80年前のアメリカにおいて正式に開始されたと言われる“Reconstruction aids”の教育プログラムは,当時の社会経済,医学医療の状況を強く反映するシステムであったであろう.1990年代の米国理学療法システムは,約80年の歳月を費やして発展させてきたシステム化の過程をさらに高度なものへと導く試みをしているように思える.米国の混沌とした社会経済,医学医療のたいへん困難な状況の中でのこととして1)

 いずれにしても理学療法教育システムは,社会経済構造や医療制度の発展段階に対応した形態や機能など,量的質的内容をもって形成される.したがって本稿においては,理学療法教育システムの変遷を,その基盤となる社会経済,医学医療の動向などと関連させて述べてみたいが,今回については社会経済,医学医療の状況の反映としての設置基準,指定規則・指導要領などの変遷として検討を試みる,またその際,他職種との比較を試みながら述べてみる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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