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雑誌目次

雑誌文献

理学療法ジャーナル29巻5号

1995年05月発行

雑誌目次

特集 外来理学療法の再検討

essence of the issue

ページ範囲:P.291 - P.291

■外来リハビリテーションは実生活に直結したQOL 向上を(大川論文)

 外来リハビリテーションは入院リハビリテーションプログラムを検討立案する時点から考慮すべきで,入院至上主義から外来リハビリテーション重視のアプローチに変換することが重要である.患者の生活環境,ライフスタイルに密着した外来リハビリテーションこそ具体的な生活行為,QOL を改善,高めることが可能であり,そのためにはインフォームドコオバレーションを機軸とした目標指向的アプローチを積極的に実践することが必要であると強調している.

外来リハビリテーションの現状と課題―入院至上主義からQOL向上に向けての外来リハビリテーション重視へ

著者: 大川弥生 ,   上田敏

ページ範囲:P.292 - P.299

 Ⅰ.初めに

 外来リハビリテーション(以下,リハと略.)については,これまでは入院リハで改善した機能・能力を維持することを主目的とするものとして論じられることが多かった.しかしながら,リハ医学の目的が「ADL自立からQOL向上」1,2)へと進歩している中で,QOL向上という目標達成のためには外来リハが十分に機能することが不可欠3)であり,今後さらにQOL向上に向けた具体的なリハアプローチと技術とが進歩するほどその重要性は高まるものと考えられる.

 このような外来リハについての意義付けの変遷は,実はリハプログラム全体の変遷と言える.外来リハは入院リハとともに一連のリハプログラムを形成しているのであり,外来リハを論じるには,リハ全体の流れの中における入院リハと外来リハのおのおのの位置付けおよびその相互の関連性とを明確にしなければ,本質的な問題点を見落としてしまう危険性がある.われわれも外来リハプログラムについての検討を深めるうちに,同時に入院リハプログラムについて反省すべき点に気付いてその改善を進めていき,後に述べるようにそれによつて初めて外来リハの効果をいっそう高めることができたという経験をもっている.そこで本稿ではまずわれわれの外来リハの効果を紹介し,その上で入院リハと外来リハとの関連性を整理することによって外来リハに関する現状と課題とを論じることとする.なお,障害や疾患によって外来リハの在り方には差があるが,根本的な点は共通していると言ってよい.

慢性期脳卒中患者の外来理学療法の再検討

著者: 三ツ木裕子 ,   川島敏生 ,   三ツ木豊 ,   田村真佐美 ,   野鳥長子 ,   東裕一 ,   鈴木真理子 ,   栗山節郎

ページ範囲:P.300 - P.305

 Ⅰ.初めに

 脳卒中患者の外来リハビリテーションの役割・機能・目的についてはさまざまな報告1~4)があり,その内容や期間は受け入れ施設の規模や性質によっても大きく異なっている.

 当院の外来部門でも希望があれば可能な限りは受け入れる体制をとつているため,長期的な関わりとなりやすい.また,脳卒中はその疾病の性質上,病態や回復段階が不明瞭なことから漫然とした訓練に陥る危険が大きい.

 本稿ではこうした自戒の意味を含めて当科の現状を調査したので報告する.

一般病院におけるクリニック体制での外来理学療法の再検討

著者: 畠中泰司 ,   龍口順子 ,   萩原章由 ,   松葉好子 ,   野島由紀

ページ範囲:P.306 - P.311

 Ⅰ.初めに

 1968年の開設以来,当科は対象者や他診療科のニーズにより診療体制を種々工夫して入院および外来患者の診療を行なっている.その一つの対応として,専門外来としてのクリニック制による診療活動がある.このクリニック制による診療は同一疾患を集中的にみるために取られる方法であり,より内容のあるサービスを系統的かつ継続的に行ない臨床研究と専門家を養成することなどが目的である1)

 当科のクリニック制による診療は現附属浦舟病院にリハビリテーション科が開設されて以来,義肢クリニックや膝クリニック,発達クリニック,側彎クリニックなどが行なわれてきた.このようにクリニック制による診療を導入してきた経緯は,義肢・装具などの製作などは義肢・装具製作業者の来院日に合わせて集中的に行なうことにあつた.また特発性側彎症は若い女性が多い上,その評価や指導に脱衣が必要で特定の場所を設定しなければならないし,脳性麻痺を中心とした乳幼児の訓練には,清潔な環境が必要であるなどその特殊性を考慮してクリニック制を導入し,一般診療とは異なり特別な場を設け集中的に行なわれるようになつた2~4).その後,発達クリニックは障害児の療育の場としての一翼を担うこととなつた6).また一方ではこれらクリニック制による診療活動は,職員の卒後教育など教育・研究活動の役割をも担ってきた.

 そこで今回は関連病院の状況を踏まえ,当科クリニック制による診療を紹介し,外来患者への対応などについてその現状および課題を検討する.

外来通院の物理療法の再検討

著者: 谷内幸喜 ,   高木清志 ,   村吉政輝 ,   新膳由美子 ,   河崎政治 ,   井上理歩子

ページ範囲:P.312 - P.316

 Ⅰ.初めに

 当院は,リハビリテーション専門医2名を含み,整形外科と理学診療科とを併設していることもあり,疼痛・疾患の慢性化・不定愁訴症候群などを呈した外来通院患者が絶え間無い.また,このような患者に対する理学療法は,理学療法士の技術・知識だけでなく,心理面・精神面の対応もより必要であることは言うまでも無い.したがって,病院の経営理念とも相重なり,少ないマンパワーでの日々の訓練は,入院患者への対応が精一杯となり外来通院患者はどうしても物理療法に頼らざるをえないのが現状である.

 そこで今回,外来通院患者の理学療法を見直す意味で,特に,物理療法施行患者を選出し,患者の疾患・処方目的・診療形態・通院実態を示し,理学療法士がどのように関わっているのかなどを分析し,外来物理療法患者の適切な実施システムを提示していきたい.

外来理学療法が長期化した患者の再検討

著者: 辻下守弘 ,   鶴見隆正 ,   川村博文

ページ範囲:P.317 - P.322

 Ⅰ.初めに

 我が国の年間外来患者数は,約63万人(1993年厚生省調査)であるとされ,入院患者数とともに年々増加する傾向にあり,国民医療費の高謄を助長する大きな要因となっている.また,一日の平均外来患者数は,人口10万人当たりの全国平均が約1700人(1992年厚生省調査)であるが,当院の所在地である高知県は約2700人と全国第一位であり,人口当たりの外来患者数が全国で最も多い県であると言える.

 外来理学療法患者数の増加は,理学療法士にとって診療業務の負担が大きくなることを意味しており,患者への診療サービスの量と質の低下につながる重大な問題である.一条1)によると,このような外来患者の増加の原因は,新患患者の増加にあるのではなく,ほとんどの場合,既在外来患者の通院日数が長期化していることによると分析している.したがって,外来患者数の増加を抑えるためには,外来患者の長期化を防ぐことに重点を置くべきであることがわかる.

 そこで,本稿では,外来理学療法が長期化した患者の経緯を医学的,心理学的,社会学的な側面から分析し,外来理学療法を長期化させる原因と今後の対応とについて検討した.

とびら

おもしろく学ぶ

著者: 関屋曻

ページ範囲:P.289 - P.289

 20年以上も前のことになるが,理学療法を志す前に他の領域で学んでいたことがある.そのころには自分の学んでいることにさしたる興味も無く,むしろ無味乾燥な学問と感じていたことを思い出す.ややうんざりしていたから,テストをパスする程度の勉強の仕方で理解はそこそこ,定着の程度は低く,時間も過ぎてあまり記憶に残つていない.ところが,今ごろになってその当時やっていたことが少しづつおもしろくなってきている.ヒトの動作に関係したものを読むうちに,自然科学の知識無しには読み進めなくなってきたのがきっかけである.今では色の変わってしまっている数学や物理学のテキストを眺めながら,当時感じていた無味乾燥さとは違うおもしろさを感じている.初めは必要に迫られて,また,便利さに気付いて始めたのであったが,しだいに必要とは別に興味が拡がっていく.あらためて,その整然と整理された美しさのようなものを感じている.

入門講座 学術研究方法の手順・5

英文抄録作成

著者: アンドリュー

ページ範囲:P.323 - P.327

 Ⅰ.初めに

 邦文の研究論文には,必ず欧文の抄録が文末についている.研究を行なって原稿にまとめることになれば,欧米の科学者たちに認められるためにという目的であろう.昔,科学者は自分の分野に関しての研究論文をすべて読もうと思えば不可能ではなかった.その時代,英語,仏語,独語,伊語などを読める科学者が多く,科学的な好奇心があれば,幾つかの言語を学ぶことを苦にしないという姿勢があったようである.しかし一方,その時代には研究成果を,何らかの形で欧文で発表しないと,評価されないとみなされる傾向があったためでもあろう.

 現在では,欧文よりも英文に限定されるという時代になった.一方,情報量が激増してきたため,科学者が自分の分野の最新の動向を知るために関連の研究論文を読み尽くすということが物理的に不可能になった.また,アジアで発行されている英文雑誌があるとのことで,母国語による研究論文への関心は皆無に近いと思える.日本人の科学者は,そこでもし邦文雑誌のみに投稿すれば,それを目にするのは日本人の読者だけに限定されることになる.たとえ英文抄録を添付することによって,その論文に関心を抱いた外国人が別刷りを入手したとしても,その研究内容が正確に伝わる確率は小さい.要するに,邦文の研究論文の文末に英文抄録を添付する目的は,日本人に対して学問的な印象を与えることにすぎない.

 この悲観的な現実にもかかわらず,良い英文抄録を邦文の文末に加えることはそれなりの意義もあると思う.良い英文抄録は,今後探索されうる情報になる可能性があるからである.世界中の多量な情報が簡単に手に入るようになりつつあり,現在,国と国との間の距離が時間的にみて短くなってきている.しかも情報は単に文章によってのみではなく,画像や口頭,その他の手段が総合された形で伝達され内容豊かでかつ便利に使えるものになりつつある.英語はこのような疎通手段として通用することから,科学研究の新しい情報伝達のために良い英文抄録という「前菜」の果たす役割は将来ずっと大きくなると考えられる.例えば,良い英文抄録が国際ネットワークに入力されると,キーワードなどによって,関心のある人々が簡単にその内容を知ることができるので,その人々が論文の著者に電子郵便を送信し,対話による直接の情報交換が可能になるのである.

 ただし,これは良い英文抄録を前提とする話である.

 日本でなかなか良い英文抄録にめぐり遭えないことにまつわる一つの問題は,英文抄録の執筆者は国際ネットワークのような機関を意識していないことである.もっとも,邦文雑誌に邦文原稿を執筆するが,研究論文の投稿規定により仕方なくその雑誌のため英文抄録を書いているのが現状ではないだろうか.そのような意識で果たして良い英文抄録を期待することができるであろうか.

 そしてもう一つの問題は,英語を上手に書くことのできる日本人が少ないことである.基本的には中学校からの英語教育改革が必要かもしれないが,ここではそのような繁雑な問題を論じる余裕は無い.しかしすでにお粗末な英語教育を受けてしまった大人でも,これから述べる幾つかの工夫で,充分に通じる英文抄録を仕上げることは可能なのである.

講座 理学療法教育論・5

学内実習の実際

著者: 渡辺進 ,   国安勝司

ページ範囲:P.329 - P.333

 Ⅰ.初めに

 理学療法士は1966年に誕生した.以来,理学療法士に対する需要はますます増加し,その活躍の場はしだいに拡がってきた.例えば,内部障害,代謝障害,ICU,スポーツ外傷などである.一方,急速な人口の高齢化に伴い,1980年代後半より保健・福祉あるいは地域リハビリテーションの分野で理学療法士と作業療法士とが重要なマンパワーとして位置付けられ,社会の新たな期待が高まっている.

 このような社会の要請の拡大と変化とを受けて,理学療法士教育も大きな変化の時代に入りつつある.第一に理学療法士学校・養成施設(以下,養成校と略.)数および定員数が増加した.第二には大学および大学院が設置され,高等教育が始まったことである.第三はカリキュラムの改正である.さらには,1994年度から(社)日本理学療法士協会による卒後の生涯学習システムも本格的に動き始めた.そこには過渡期ゆえの混乱や問題も多い.古米1)の言うように,理学療法そのものの定義もゆれている.過密なカリキュラムによるゆとりの不足,養成校の急増に伴う教員の不足,臨床実習施設の不足,臨床実習指導者の処遇や教育の問題,卒業時の到達目標の問題,卒前・卒後教育システムの一貫性の問題などが山積している.

 今回の報告の目的は,そのような状況の中で臨床実習教育,特に学内あるいは附属(関連)施設での臨床実習に焦点を絞って調査を行ない,その意義と在るべき姿とを明らかにすることであった.対象は1994年度までに開校した64校で,郵送によるアンケート調査を実施し,回答を得た57校(89%)の現状と意見とを分析し,私たちの意見を述べた.

1ページ講座

リハビリテーション関連領域の重要略語集・5

著者: 大田喜久夫 ,   大川弥生

ページ範囲:P.335 - P.336

F ①Fowler's position ブアウラ一位.②flow 流量.③fraction 分画.④frontal 前頭部の.⑤field of vision 視野.

FA fluorescent antibody 蛍光抗体.

プログレス

新しい人工骨頭・1

著者: 松末吉隆

ページ範囲:P.337 - P.337

 人工骨頭置換術の歴史は古く,Mooreらによるバイタリウム(Co-Cr-Mo)製人工骨頭が1943年に報告され,現在までThompsonらの人工骨頭とともに最もよく用いられてきた.しかし,金属製人工骨頭に対する股臼側の骨,軟骨の変性・磨耗により,長期経過例において股臼側の軟骨の磨耗や骨頭の上方移動を高率に生じることが判明した.そこで,BatemanとGilibertyとによりバイポーラー人工骨頭が1974年に導入されて以来,大腿骨頸部骨折や大腿骨頭壊死症を適応として代わりに広く用いられるようになった.またバイポーラー人工骨頭は約10年余り前から変形性股関節症に対して臼蓋のリーミングを行なって,臼蓋側にソケットを用いる代わりに使用されてきた.

 バイポーラー型人工骨頭は,二重式ベアリング骨頭を持っシステムで関節軟骨と適合する金属アウターヘッドの動きが,22mmステムヘッドと超高密度高分子ポリエチレン製ベアリングインサートとの間での動きに対して二次的に起こる.この結果,寛骨臼軟骨への剪断力を減弱し長期の使用を可能とする考えで開発された.

理学療法草創期の証言

先導的リハ医療の三つの流れ

著者: 和才嘉昭

ページ範囲:P.338 - P.338

 1954年10月三療の免許で就職した,別府市鶴見が丘にある九州大学医学部附属別府温泉治療学研究所の理学療法室は,当時としてはドイツ製ツアンダーなる運動機器を備えた先進的を施設ではあったが,現在各地の病院や治療施設でみられる理学療法室のレベルからすればほど遠く,非常に貧弱なものとして記憶に残っている.当時は何れの治療施設でも三療免許所有者が理学療法室と呼ばれる部門に配属され,マッサージや物理療法業務を担当しその責務を果たしていた.少なくとも1965年理学療法士・作業療法士国家試験に基づく療法士が誕生するまでは主役であった.

 日本でリハビリテーション医学が,声高く叫ばれるようになるまでにも,名称こそ異なるが国内で大きく東京大学の故高木憲次先生・故小池文英先生中心の東京方式,大阪大学の故水野祥太郎先生・田村春雄先生中心の大阪方式,九州大学の故内藤三郎先生・天児民和先生中心の九州方式なる三つの更生医療の流れがあった.それらの特徴として東京方式では肢体不自由児施設で,大阪方式では身体障害者更生施設で,そして九州方式では労働災害者の労災病院で,それぞれ地道ではあったが日本のリハビリテーション医療が先導されていた.

障害者の一般就労への道の険しさ

著者: 長能常利

ページ範囲:P.339 - P.339

 『理学療法ジャーナル』編集室より「理学療法草創期の証言」を書いてほしいとの依頼があった.当時の理学療法をめぐる大きな動きは,これまでにすでにふれられているので,私の「理学療法草創期の証言」としては,一人の障害者の社会復帰するまでを通じてその当時の状況を理解していただこうと思う.

 1970年に私が理学療法士として神奈川県立身体障害者更生指導所に勤務した当時は,リハビリテーションという言葉すら,知っている人も少なかった.まして,障害者の一般就労への可能性は最近とは比較にならないほど低い状況の下で,理学療法士として私が担当し,一般就労することができるまでになった両側大腿切断のS氏が,今回の一方の主人公である.S氏退所に至るまでに一人の理学療法士として私が,どのように関わったのかについて述べる.

あんてな

理学療法教育設備機械器具の改正と教育展望

著者: 黒川幸雄

ページ範囲:P.340 - P.340

 1.初めに

 理学療法作業療法士養成施設指導要領の一部改正についての厚生省健康政策局医事課長通知が,1993年4月28日(医事第39号)付けで全国の理学療法士養成施設長宛に送付された.この改正は,1993年4月7日の医療関係者審議会理学療法士・信業療法士部会の審議を経て決定された.この指導要領についての一部改正の根拠となる法的部分は,指定規則においては第二条九項,第四条十項,および第五条などである.

 理学療法・作業療法教育が我が国で発足してから,四半世紀が過ぎようとしているが,この間の科学技術の進歩や医学・医療の進歩は目覚ましいものがあるにもかかわらず,また一方でその一翼を担うべく生まれた医療関連職であるにもかかわらず,教育における施設設備機械器具の更新は決して円滑に行なわれてきたとは言い難い状況があった.今回の改正の背景には,この遅れの深刻さを指摘する声があったと認識している.本稿においては,以下で理学療法部分の改正の内容とそれと関連する事項と課題とを示し,今後に期した.

印象に残った症例

高位頸髄損傷患者の人工呼吸器からのWeaning経験

著者: 丹羽義明

ページ範囲:P.341 - P.344

 Ⅰ.初めに

 高位頸髄損傷患者の呼吸管理は急性期,慢性期を通じて容易ではない.特に急性期においては重篤な換気障害が生じ人工呼吸器による呼吸管理が必要となってくる.しかしながら,人工呼吸器管理が長期になればなるほどICU症候群とも言われる心理的問題も重なり人工呼吸器からのWeaningがより困難となるため,人工呼吸器管理の当初よりWeaningを意識した治療を行ない,いたずらに人工呼吸器管理を長期化させるべきでないと言われている.

 10年前,人工呼吸器管理下に置かれた高位頸髄損傷患者のWeaningを初めて経験し,治療チームスタッフで協力しながら,Weaning過程に生じた諸問題に対して模索を繰り返しながら対処していき,完全離脱に成功した.今回,この症例を印象に残った症例として報告する.

報告

関節固定が筋肉コラーゲンに及ぼす影響―ラットのヒラメ筋におけるコラーゲンの生化学的分析

著者: 須釜聡 ,   立野勝彦 ,   灰田信英

ページ範囲:P.345 - P.348

 Ⅰ.初めに

 長期間の不動や外傷などにより関節拘縮を生じ,関節可動域に制限を呈した患者の理学療法を経験することはきわめて多い.また,関節拘縮に対する理学療法としては,物理療法などを併用した関節可動域訓練や持続的伸張手技などが一般的に行なわれており,その効果についての報告も多々あるが,軟部組織の分子レベルにまで及んだものはほとんど見当たらない.

 一方,関節拘縮の発生機序やその主な原因と考えられる関節周囲の軟部組織の変化については,組織学的および生化学的に考察されており1-5),特に,生化学的考察としては関節周囲の軟部組織を構成しているコラーゲンが,その組織の弾性に大きく関係していると言われており3,5),コラーゲン分子に形成される架橋結合が影響しているのではないかと考えられている3-5)

 これらのことから,軟部組織のコラーゲンを分析することは,理学療法にとって関節拘縮の評価や関節拘縮に対する理学療法手技の効果判定などの一助になるのではないかと考えられる.

 そこでわれわれは,まず基礎的実験として,関節固定が関係する筋肉のコラーゲン線維にどのような影響を及ぼすのか生化学的分析を用い検討することを目的として実験を行なった.その結果若干の知見を得たので報告する.

プラクティカル・メモ

折り畳み式ポータブルトイレ

著者: 鈴木雅士

ページ範囲:P.349 - P.350

 1.初めに

 在宅障害者の中には,寝室で排泄行為を行なうことへの嫌悪感,来客時にきまりが悪い,悪臭が出るなどの理由で昼間は通常のトイレを使用し,ポータブルトイレは夜間のみ使用するという方もいる.このようなポータブルトイレに対するニーズに対応するには,ベッドに固定されたものではなく,取り外しが簡単で,しかも目に付かない場所へ収納できるものが望ましいと思われた.そこで私たちは,そういった現状に対応するため,折り畳み式の枠付きポータブルトイレを開発したので,その概略を紹介する.

学会地紹介

お江戸虎の門

著者: 本誌編集室

ページ範囲:P.351 - P.355

 聞くところによると何だい,来月の8~10日にゃあ第30回記念の日本理学療法士学会とやらが,お江戸は日本橋じゃあなかった,将軍様お膝下もお膝下,虎の御門の傍らで開かれるってェこった.何とか何とか士ってんだからお侍かも知れねえが,なあにこちとらァ元気な町民のいっぺェいる,町民でもってる御城下でェ,見るもの聞くもの,それから食いもんだっていいもンが何だってあらァな.

 おいらはこれから来なさる皆さんにちょいと御案内をと思ってよウ,お城のすぐ下まで行ってみてきたってェ訳よ.すぐ側の施療所の虎の門病院てェとこに何とか何とか士って方の仲間がおいでだからお力を貸してもらったんだけどよゥ,そのお仲間は井上隆三氏と「おーてぃー」とやらの前田佳子氏,それと「摩擦じゃー師」とかいう大石一三氏のお三方でい.

 案内絵図が国中で手に入るご時世だ.便利になったじゃあねぇか.絵図でわかるところは,そいつを見てくんなぃ.ろーかるってのが却って大事かもってことで案内させていただきやしょう.

 (本誌編集室)

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文献抄録

ページ範囲:P.356 - P.357

編集後記

著者: 鶴見隆正

ページ範囲:P.360 - P.360

 阪神大震災で被災された方々が復興に向けて懸命に立ち向かっている最中に,通勤ラッシュの地下鉄車内で猛毒サリンを撒くといった無差別大量殺傷事件が起こり,何の罪も無い人が突然,犠牲となった不幸は痛ましい.実に不気味であり,心底から怒りを覚えます.

基本情報

理学療法ジャーナル

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1359

印刷版ISSN 0915-0552

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