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特集 外来理学療法の再検討
外来リハビリテーションの現状と課題―入院至上主義からQOL向上に向けての外来リハビリテーション重視へ
著者: 大川弥生1 上田敏1
所属機関: 1帝京大学医学部附属市原病院リハビリテーション科
ページ範囲:P.292 - P.299
文献購入ページに移動外来リハビリテーション(以下,リハと略.)については,これまでは入院リハで改善した機能・能力を維持することを主目的とするものとして論じられることが多かった.しかしながら,リハ医学の目的が「ADL自立からQOL向上」1,2)へと進歩している中で,QOL向上という目標達成のためには外来リハが十分に機能することが不可欠3)であり,今後さらにQOL向上に向けた具体的なリハアプローチと技術とが進歩するほどその重要性は高まるものと考えられる.
このような外来リハについての意義付けの変遷は,実はリハプログラム全体の変遷と言える.外来リハは入院リハとともに一連のリハプログラムを形成しているのであり,外来リハを論じるには,リハ全体の流れの中における入院リハと外来リハのおのおのの位置付けおよびその相互の関連性とを明確にしなければ,本質的な問題点を見落としてしまう危険性がある.われわれも外来リハプログラムについての検討を深めるうちに,同時に入院リハプログラムについて反省すべき点に気付いてその改善を進めていき,後に述べるようにそれによつて初めて外来リハの効果をいっそう高めることができたという経験をもっている.そこで本稿ではまずわれわれの外来リハの効果を紹介し,その上で入院リハと外来リハとの関連性を整理することによって外来リハに関する現状と課題とを論じることとする.なお,障害や疾患によって外来リハの在り方には差があるが,根本的な点は共通していると言ってよい.
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