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特集 運動発達障害;新生児からのアプローチ
発達障害児の早期治療・早期療育―小児科医の立場から
著者: 北住映二1
所属機関: 1心身障害児総合医療療育センター小児科
ページ範囲:P.371 - P.375
文献購入ページに移動早期治療に当たる英語は,early treatmentであるが,アメリカでは,早期すなわち乳幼児期の治療的な関わりを表す語としてearly interventionという言葉がよく用いられる.これは,早期「介入」と訳されるが,日本では高木兼次による「療育」という,より適切な言葉がある.どの言葉を用いるにせよ,早期の治療訓練は,その子の発達や母親の育児への治療的介入という内容・性格を持つことを踏まえておく必要があるとともに,療育という広い視点から捉えられなければならず,正しい視点を欠いた,狭隘な早期診断,早期治療訓練は,その子や家族にとって,有害ですら有りうる.
表題からは,早期治療の方法やその効果の評価などについての概説的文章を期待されるかもしれないが,ここでは,早期治療・療育およびその前段としての早期診断の在り方に関わる基本的なことや,具体的方法の問題点を,理学療法士の関わる発達障害である,脳性麻痺や発達遅滞の具体例を通じて,小児科医の立場から,述べていきたい.
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