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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル30巻10号

1996年10月発行

文献概要

クリニカル・ヒント

体幹筋の等尺性収縮を中心とした腰痛体操

著者: 辛島修二1 宮本隆志2 浦田隆史3 中島恵3

所属機関: 1吉備国際大学保健科学部 2石川県リハビリテーションセンター 3リハビリテーション加賀八幡温泉病院

ページ範囲:P.744 - P.745

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 従来,本邦で腰痛体操といえばWilliams体操が最も一般的で,広く普及している.しかし,Nachemsonの椎間板内圧の研究で,起き上がり訓練と脊椎過伸展運動が腰椎椎間板内圧の急上昇をもたらすことが明らかになって以来,欧米では体幹筋の等尺性収縮を中心とした腰痛体操が主流となっている1,2).筆者は1988年,back schoolの講習会を受講するために訪米した際,複数の病院でback schoolを見学したが,Williams体操を行っている理学療法部門はなかった.そこで帰国して,腰痛患者に対する教育的アプローチを試行錯誤していく過程で,なぜ欧米でこのような腰痛体操の傾向になったのかが理解できた.今回は,その理論と実際について述べてみたい.

 Williams体操の目的は腰椎前彎の矯正にあり,この腰椎前彎が腰痛の原因であると伝統的に信じられてきたが,その科学的根拠は必ずしも明らかではない.最近では逆に,腰椎の伸展つまり腰椎前轡の増強が治療に結びつくとする治療法が世界中の理学療法士に知られるところとなった.この議論は,腰椎の屈曲と伸展が髄核の移動にどのように影響するかが重要な点である.本稿の目的はその点にはないので言及は避けるが,画一的な腰椎前彎の矯正が腰痛治療の目的でないことだけは明らかである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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